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事業の進化

なぜCARTAがエンタメ事業へ?CARTA ENTERTAINMENTが目指す「日本で最もロジカルなエンタメカンパニー」への挑戦

デジタルマーケティング事業を展開するCARTAが、なぜ自らタレントプロデュースに乗り出すのか。2025年11月に設立された株式会社CARTA ENTERTAINMENTの代表取締役CEO・田中宏征が狙うのは「企業の需要などの客観的なデータに基づいてタレントを揃えて育てる」というプロデュースの仕組みです。代理店ビジネスから一歩踏み出し、自社タレントを軸に事業を広げる狙いや、NTTドコモ・電通グループの巨大基盤を掛け合わせた「エンタメ×ビジネス」の可能性に迫ります。

田中 宏征

Hiroyuki Tanaka

株式会社CARTA ENTERTAINMENT
代表取締役CEO

2015年に株式会社VOYAGE GROUP(現 株式会社CARTA HOLDINGS)新卒入社。立ち上げ当初の株式会社サポーターズへ配属後、営業、イベントプロデュース、アプリ開発などを経験し、2019年に取締役へ就任。

2023年7月からはカルチャー醸成をミッションに、株式会社CARTA HOLDINGSのコーポレートブランド室の室長に就任。

2025年11月、株式会社CARTA ENTERTAINMENT設立と同時に代表取締役CEOに就任。現在は複数の外部企業の取締役も兼任。

ニーズから逆算する、新しいタレントプロデュースのカタチ。

ー「CARTA ENTERTAINMENT」の設立背景を教えてください。

CARTAグループでデジタルマーケティング事業を手がけるCARTA ZERO(当時の株式会社CARTA MARKETING FARM)の中で、SNSマーケティングを強化しようとしたことが始まりでした。
現在のSNSマーケティング市場は「企画+キャスティング」を広告主に提供するサービス形態が主流です。このうちキャスティングは「自社オリジナルのタレントをどれだけ揃え、他社と差別化できるか」が勝負のカギになっています。

そこでCARTA ZERO内で本格的にプロダクション事業を立ち上げ、その第一歩として、SNS総フォロワー数450万人超の「Kevin’s English Room(KER)」と専属契約を結びました。結果、彼らをきっかけに新規取引が次々と生まれ、「自社タレント」という武器が明確に機能することを実証できたんです。ただ、どれだけ強力でも、特定のタレントだけではクライアントの多様なニーズに応えきれません。「単一タレントの限界」を感じたことで、ポートフォリオを本格的に拡大し、エンタメ特有のスピード感と専門性を持つ専業法人が必要だと考えました。

こうして2025年11月にプロダクション事業を独立させたのが「CARTA ENTERTAINMENT」です。

ー従来の芸能プロダクションと比較した際、CARTA ENTERTAINMENTの「最大の強み」は何でしょうか。

一番の差別化は、「タレントを育成してからビジネス展開を模索する」のではなく、「世の中で求められているニーズから逆算して、タレントをプロデュースする」という“順番の逆転”にあります。

従来のプロダクションは、タレントを育成した後の露出や収益化を外部の広告代理店に依存しがちです。しかしCARTAグループには、豊富なクライアントネットワークや広告事業といった「タレントを活躍させて収益化する場」を最初から持っています。そのため、市場で今どんなタレントが求められているかを先回りして把握し、そこから逆算して戦略的にタレントを揃えることができる。さらに、タレントの育成やマネジメントをCARTA ENTERTAINMENTが担い、広告企画や運用をCARTA ZEROが担うという形で密に連携しています。企画から撮影、キャスティングまでをCARTAグループ内で一気通貫で完結できるため、他社には真似できないスピード感でカタチにできます。

このスピード感に加えて、「データマーケティング×ファンビジネス」を実現できることも大きな強みです。ファンの行動データを可視化し、ライブ動員やグッズ販売、SNS運用などをデータドリブンで回していく。これまで感覚や経験に頼りがちだったエンタメの意思決定を、客観的なデータを基に行います。

そして何より、CARTAグループの親会社であるNTTドコモと電通グループという巨大な2大基盤との掛け算は、私たちにしかない唯一無二の強みです。通信キャリアが持つ強力な顧客接点やデータ、決済基盤、さらにはグローバルネットワークをタレント育成やリアルイベントに直接活かす取り組みが、すでにCARTAグループ連携として動き出しています。

自分の言葉で“Why”を語れるタレントを育てる。

ー現在はどのようなタレントが所属していますか。

現在、「クリエイター」「アイドル」「VTuber」の3ジャンルでポートフォリオを構築しています。感性や直感によるスカウトではなく、CARTA ZEROをはじめとしたデジタルマーケティング事業側で、クライアントの需要が確認できているジャンルに対して、ピタッとハマるタレントを戦略的に揃えていく。こうした考えのもとで、現在、様々なジャンルでユニークで魅力的なタレントが所属しています。

ータレントの「育成」におけるこだわりを教えてください。

育成においては、技術以上に本人のWhy(なぜやるのか)の言語化を重視しています。なぜ自分は活動するのか。なぜそれを目指すのか。“Why”が明確なタレントこそが長く戦えると考えるからです。また、SNS運用やデータの読み方も身につけられるようサポートし、数字で自分の現在地を把握できるロジカルなタレントを育てています。

また、虎ノ門ヒルズのオフィス内には機材完備の完全防音スタジオを整え、法務サポートや専任マネージャーの伴走など、活動に100%集中できるバックアップ体制を用意しています。

ガラガラの客席を前に決めた覚悟。
全公演に通い詰め、現場の真ん中に飛び込む。

ー事業の立ち上げから軌道に乗せるまでのプロセスにおいて、最大の「壁」は何でしたか。 また、それをどのようにブレイクスルーされたのか教えてください。

一番の壁は、ゼロからタレントを育成し、ファンを集めて軌道に乗せる難しさでした。デジタルマーケティングのノウハウがあっても、人の心を動かすファンビジネスは一筋縄ではいきません。

その現実を突きつけられたのが、2026年1月に目にした所属アイドルグループ「SAKURADOLL」のライブです。ワンマンライブにもかかわらず動員は200人未満、定期公演では20人を割る回もあるほどのガラガラな客席を前に、強烈な焦燥感を覚えました。

ここから脱却するため、まず自分自身のリソースを「SAKURADOLL」一点に集中させる「選択と集中」を行いました。そしてもう一つ貫いたのが、徹底した「現場主義」です。

未経験の事業構造を肌で理解すること。そしてメンバーの心の変化を逃さず察知するため、すべての現場に足を運びました。どこに改善のヒントがあり、誰がどう影響し合っているのか。人からの説明ではなく自分の目で全体像を確かめたかった。現場を知らずして正しい経営判断はできないと考えたんです。

こうして現場に通い詰めて見えてきた一番の課題は、「意思決定の仕組みが整っていなかったこと」でした。現場で誰が最終判断を下し、どうグループを引っ張っていくのかが明確になっていなかったんです。そこでまずは、私自身が最前線に立って即断即決し、現場の舵を取っていく覚悟を決めました。

最初はメンバーからも、「本当にこの人で大丈夫なのかな?」と、どこか警戒もされていましたね。でも、全公演へ通ったり、自らカメラを回してメンバーのTikTok動画を撮影したり、メンバーやスタッフの悩みに向き合い続ける中で、少しずつ信頼関係が生まれていきました。

最近ではさらに一歩踏み込んで、自ら「SAKURADOLLの社長」というアカウント名でTikTokを開設して投稿しています(笑)。グループを伸ばすために、経営者という立場にとらわれず、自分ができることは何でも取り組む姿勢を大事にしてきました。

こうして、自分ができる限りの熱量を注ぐうちに、メンバーやスタッフがそれ以上の熱量で応えてくれるようになりました。あのガラガラだった客席からわずか半年で定員約1,500人の「Zepp Shinjuku」でのワンマンライブを満員にできたのは、メンバー、スタッフ、関係者のみなさん、そしてファンのみなさんの熱量が一つになったからこそ成し遂げられたことだと思っています。

タイアップからイベントまで。グループの強みを活かして広がる「エンタメ×ビジネス」の取り組み。

ーファンコミュニティや市場からは、どのような反響を得ているのでしょうか。

「SAKURADOLL」は、ファンが新しいファンを連れてきてくれる好循環が生まれています。面白いのがファン層のデータで、男女比がほぼ半々と、アイドルの現場としてはかなり珍しいバランスです。さらに海外各地から応援してくれているファンも多く、フィリピンやシンガポールには自主的なファンコミュニティまでできています。

この「海外ファンの多さ」という強みとCARTAグループの内製力を活かした事例が、2026年5月の「AirAsia(エアアジア)」さんとのタイアップです。 メンバーの姫野笑茉(ヒメノエマ)がイメージモデルを務め、CARTA ZEROと連携してロケから特設サイト制作までわずか3週間で対応。対象路線の搭乗率向上に大きく寄与し、先方からも高い評価をいただきました。

国内では三重県伊勢市でのツアーや群馬県の「ぐんまちゃんオフィシャルサポーター」などの実績も生まれており、地方創生や観光を担うパートナーとしての期待も急速に高まっています。

ー4月に沖縄で行われたフェスイベント「GIRLS GROOVE INNOVATION(GGI)」では、NTTドコモとの連携を行ったと聞きました。こちらについても詳しく教えてください。

はい。「GIRLS GROOVE INNOVATION(GGI)」は、「女性のパワーで沖縄の新しい未来を」をテーマに沖縄国際文化祭と共催で行われた大型フェスです。CANDY TUNE(キャンディーチューン)さんやiLiFE!(アイライフ)さんといった豪華なアーティストが出演され、SAKURADOLLもステージに立たせていただきました。今回CARTA ENTERTAINMENTは、メインスポンサーとして参画しました。

そして実はこのイベントが、私たちがドコモグループの一員となってから、初めて実現したグループ連携プロジェクトでもあります。

具体的には、活気あふれるフェスイベントをドコモのサービス・決済基盤のタッチポイントとして機能させる取り組みを行いました。例えば、「ドコモバリューパス」と連携したブース出展や、会場内のキッチンカーなどにおける「d払い」の決済連携などです。まさに、私たちが強みとして掲げている「エンタメ×通信キャリア基盤」の掛け算を、リアルな現場で検証する初めての取り組みとなりました。
こうした「エンタメと通信基盤の融合」は、CARTA ENTERTAINMENTだから実現できる強みですし、今後もさらに規模を拡大して仕掛けていきたいと考えています。

“熱量”と“合理性”を両立し、CARTAグループに新たなバリューをもたらす存在になる。

ーCARTAグループにおけるエンタメ事業の役割と、今後の「エンタメ×ビジネス」の構想を教えてください。

一言でいえば「受託から資産へ」のシフトです。

これは受託事業をやめるという意味ではありません。これまでの広告・マーケティングといったクライアントワーク中心のポートフォリオに、「自社タレント」という強固な資産を加えることがCARTA ENTERTAINMENTの役割です。タレントを中心に据えることで、広告、プロモーション、イベント、物販、ファンコミュニティなど多面的に収益化でき、グループ内のあらゆる既存事業と接続できます。つまり、グループ全体をつなぐ「ハブ」になり得る存在なんです。

実はすでに、SAKURADOLLの定期公演には事業会社の経営層や音楽業界の関係者といったゲストが継続的に足を運んでくださっており、「エンタメ×ビジネス」の出会いを生む新たな接点として機能し始めています。こうしたリアルな場や繋がりそのものが、CARTAグループにとって大きな資産になっていくと考えています。

今後は、2026年8月にデビューした「ウラロジゲームカンパニー」や、Zepp Shinjukuワンマンを終えた「SAKURADOLL」を軸に、勝ちパターンの「型化と横展開」を一気に進めます。AirAsia様とのタイアップのような「独自タレント×内製クリエイティブ」のスピード展開に加え、沖縄フェスで実証した「エンタメ×ドコモ基盤(d払い等)」の連携拡大、さらには海外ファン基盤を活かした日本企業のアジア展開支援も狙っていきます。

ー最後に、CARTA ENTERTAINMENTが目指す姿と、未来のパートナー企業や読者へ向けたメッセージをお願いします。

CARTA ENTERTAINMENTのミッションは「新しい世界の扉をひらこう。」です。クリエイターとファンをつなぎ、感性が響き合う瞬間をプロデュースすることで、世界をもっと“Fun”にする。

目指すのは、単なる芸能プロダクションではなく、「データとマーケティングでタレントの価値を最大化できる、日本で最もロジカルなエンタメカンパニー」です。エンタメの熱量とビジネスの合理性は両立できる。それを証明することが、CARTAグループに新しいバリューをもたらすと信じています。

私たちはまだ挑戦の入り口に立ったばかりです。CARTA、そしてNTTドコモや電通グループのアセットを掛け合わせて生まれる「新しいエンタメの形」を、ぜひ皆さんも一緒に面白がっていただけたら嬉しいです。

これからも、予想外の体験で人の表情を変えるような仕掛けを打ち続けます。

■CARTA ENTERTAINMENT 所属タレント紹介

CARTA ENTERTAINMENTがプロデュース・展開する、各ジャンルの個性豊かな所属タレントをご紹介します。

【クリエイター】

・Kevin’s English Room(KER):

SNS総フォロワー数450万人超(TikTok140万/YouTube249万/Instagram72.1万/X9.6万)。言語・文化・料理をテーマにしたコンテンツで、ジャンルの明確さとクライアント起用ニーズの高さが強みの看板クリエイター。

・しょうもなちゃんねる(2026年6月専属契約・発表済み):

SNS総フォロワー数39万人超。9年目カップルの掛け合いとテンポ感のあるショート動画でα・Z世代に高い支持。個人でも、しょうたは画家、もなみは美容・ファッションクリエイターとして活動。アプリ・飲食・観光・美容などクライアントニーズの高いジャンルに対応可能。

【アイドル】

・SAKURADOLL:

「Made in JAPAN to the WORLD」を掲げる8人組グローバルライブアイドル(2024年3月結成、2025年1月デビュー)。東南アジア中心に4カ国・10公演以上の海外実績(フィリピン・ダバオ約3週間40公演ツアー、シンガポールAnime Festival Asia 2025、台湾AKB48 Team TPコラボ、フィリピンTOYCON PH 2024ほか)。英語・中国語MC可、デビュー曲は世界185カ国配信。2026年8月16日にZepp Shinjukuワンマン「桜花爛漫」を実施。楽曲ではmihimaru GT三宅氏が新曲の作曲・アレンジに参加。

【VTuber】

・ウラロジゲームカンパニー:

ウラロジゲームカンパニーは、「ゲーム×専門知識」をコンセプトとした新世代のVTuber事務所です。法律や経営、薬学、映像、芸術など、各分野に特化したタレントが所属しています。単なるゲーム実況にとどまらず、専門家の視点からゲームの世界観やシステムを紐解き、作品の奥深さや新たな面白さを発信しているのが特徴です。2026年のTGS(東京ゲームショウ)に出演予定。ティザーPVでは原口沙輔氏が楽曲提供を手掛けるなど、独自性の高いエンタメを創出するメディアカンパニーとして活動しています。