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事業の進化

自分自身の実力と責任で、ゼロから事業を切り拓く。

CARTA ZERO執行役員・中村涼太が挑んだ、直販事業立ち上げの軌跡

「自分自身の実力と責任で勝負してみたい 」——。
広告代理店との取引を主軸とするCARTAにおいて、あえて広告主(事業会社)と直接取引を行う「直販事業」の立ち上げに挑んだ中村涼太。 しかし、待ち受けていたのは「なぜCARTAが?」という市場からの反応と、深刻なリソース不足でした。その歩みは、決して平坦な道のりではありませんでしたが、逆境の中で彼を突き動かしたのは、出向時代に抱いた危機感と、「クライアントの事業にダイレクトに伴走したい」という強い想いでした。 現在はCARTA ZEROの役員として直販組織を牽引する中村。彼がゼロから道を切り拓いてきた軌跡を追います。

中村 涼太

Ryota Nakamura

株式会社CARTA ZERO
執行役員

2011年に株式会社サイバー・コミュニケーションズ(現 株式会社CARTA HOLDINGS)へ中途入社。
インターネット広告代理店のオプト、総合代理店のADKマーケティング・ソリューションズに計8年間出向し、インターネット広告領域の業務を担当。
2021年、自ら手を挙げ直販事業の立ち上げへ参画し最前線で事業の拡大を牽引。
現在はCARTA ZEROの執行役員として、国内クライアントを対象にダイレクトマーケティングとブランドマーケティングの両軸で事業成長を支援する営業組織を統括している

8年間の出向で知った、代理店ビジネスのリアル

―キャリアの原点となる「出向時代」について教えてください。

入社2年目から外部の広告代理店へ出向し、デジタル専業代理店と総合代理店の双方で、計8年間ほど経験を重ねてきました。 営業の考え方も社内の文化もクライアントの性質も違うので、それぞれの立場を経験できたことは、私のキャリアにとって非常に大きかったですね。

例えば総合代理店は、圧倒的なクリエイティブ力と既存クライアントとのリレーションをもって大きな市場を動かす戦略に長けています。営業、メディア、クリエイティブと役割が明確な「分業制」を敷いているため、各領域のプロが専門性を発揮し、総力戦で巨大なプロジェクトを動かせるのが強みですね。ただその反面、どうしても社内調整が多くなり、小回りをきかせづらい部分もありました。

対してデジタル専業代理店は、一人の担当者がカバーする領域が広く、社内の複雑な調整や分業の壁に縛られることが少ない傾向にあります。個人の機動力を活かして、よりスピーディーにお客様と向き合えるのが良さです。ただ、どうしても提案の幅が限定されてしまう。
外から見れば同じ「広告代理店」ですが、文化やクライアントに向き合うスタイルは異なります。どちらのやり方にも、それぞれの正解があるのだと実感しました。

ごまかしの効かない環境へ。自ら切り拓いた「ゼロイチ」の舞台

―帰任後、直販事業の立ち上げへと踏み出します。

当時、GoogleやMetaといったプラットフォーマーが台頭し、インターネット広告市場では運用型広告のシェアが急拡大していました。
既存の立ち位置のままではいずれ限界が来る。マーケティング企業としてCARTAがさらに成長していくためには、直接クライアントと向き合う「新たな柱」が必要だと感じていました。

出向先での経験も大きな原動力となっています。自分たちの提案がクライアントの売上にダイレクトにつながり、手応えも悔しさもクリアに返ってくる。その一切ごまかしの効かない「直販」の最前線で、自分の実力と責任で勝負したいという気持ちが強くなっていったんです。

そして同じくらい私を強く突き動かしたのが去っていく仲間の存在でした。出向先で直販を経験した仲間たちが、帰任のタイミングで転職していく姿を何度も見送り、もどかしさを感じていました。これまで成長の機会を与えてくれたCARTAの中に、彼らが会社を去らずに済むような「新たな活躍の舞台」を創りたい、そう思ったんです。

それに私自身、すでにある仕組みを「10から100」に広げていくよりも、誰も歩いていない場所を自ら草をかき分けて「0から1」を作り上げる方が圧倒的に燃える性格で。リスクを取ってゼロから事業を創り上げた方が、 返ってくるリターンもはるかに大きい。
ちょうどその頃、「直販事業を伸ばしていきたい」という当時の上司と思いが合致し、一緒に事業を立ち上げることになりました。自分の選択に責任を持ってチャレンジできるゼロイチの環境だったからこそ、不安よりもワクワクが勝っていました。

「なぜCARTAが直販事業?」。ゼロから価値を証明し続けた日々

―実際に直販部門を立ち上げた際、最初に直面した壁はどのようなものでしたか?

立ち上げ当初は、市場からの「CARTA=メディアレップ・運用会社」という非常に強固なイメージとの戦いでしたね。「直販もやるんですね」と驚かれる状態からのスタートで、ゼロから信頼を獲得していくしかなかったんです。
社内にも「事業として成立するのか」「既存のビジネスとどうシナジーを生み出せるのか」といった慎重な見方がありました。 加えて体制も発展途上。戦略立案からクリエイティブのディレクションまでを営業が一手に担う状況だったんです。総合代理店がチーム体制で提供しているクオリティに追いつき、追い越したい。理想のサービスレベルとのギャップに何度も歯がゆい思いをしました。

正直、プレッシャーを感じる時期もありましたが、それでも心が折れなかったのは、その上司が直販の可能性を信じて支えてくれたからです。「会社の経営判断としてストップがかかるまでは、絶対にやり抜く」。その覚悟が決まっていたからこそ、迷いなく打席に立ち続けることができました。

―そこからどのようにして突破口を開いていったのでしょうか。

劇的なブレイクスルーが起きたわけではなく、ひたすら泥臭いアプローチの積み重ねでした。 最初は一社一社、足を使って向き合い、考え抜いた施策で確実に成果を出す。その地道な成功体験を事例化して横展開することで、少しずつ取引先を拡大していきました。

並行して、ファッション、コスメ、食品など、業界ごとに特化チームを作り実績を積み上げました。汎用的な提案ではなく、その業界の文脈に即した深い提案を続けることで、「この領域なら CARTA に相談してみよう」とお声がけいただける機会が増えていったんです。

事業を広げていくうえで近道はありません。ですが、そうやって打席に立ち続けるうちに、少しずつ数字が伸び、一人、また一人と仲間が増えていく。その手触り感のあるプロセスそのものが、さらなる挑戦への純粋な原動力となっていきました。

カオスな組織の転換点。「ブランディング×ダイレクト」の融合でクライアントの事業ステージを一段引き上げる

―「これならいける」と確信したターニングポイントはどこでしたか?

大きな転換点となったのは、CARTAグループ内での組織再編でした。ダイレクトマーケティング領域に強みを持つチームと、ブランディング領域を担うチームが合流することになったんです。 年齢層も経験値も、これまで向き合ってきた課題も全く違うメンバーたちが、突然同じ船に乗ることになった。当然文化も異なりますから、最初はまさに手探りの状態でしたね。
出向時代の経験から、この2つの強みをうまく掛け合わせられれば市場での優位性は作れるはずだという思いはあったものの、当初は具体的な提案の形が見えておらず、それまで通りダイレクト広告の運用をご支援するに留まっていたんです。

そんな時、先方の取締役と話していると「正直なところ、ダイレクト領域の広告運用会社は他にもあります。CARTAさんにはブランディングやSNS、キャスティングまでできる強みがあるじゃないですか。私たちはそういう提案を求めているんです。」とはっきりと言われたんです。
この言葉に、ハッとさせられました。もちろん、精緻な広告運用でCPA(顧客獲得単価)を改善し続けることは、マーケティングにおいて不可欠です。しかし、それだけで事業を大きくスケールさせるには、いずれ壁にぶつかるタイミングが来ます。何よりクライアント自身が、運用効率の「その先」にある価値を求めていたという事実に気づかされたんです。
そこから私たちは運用の枠に留まらず、キャスティングやSNSマーケティングといった「ブランド」領域の施策を、「ダイレクト」領域に還元する提案に踏み切りました。

「自分たちのブランドの格が一段上がった気がする」。クライアントからそんな言葉をもらえたとき、単なる獲得効率の追求ではなく、事業のステージそのものを引き上げられたという確かな手応えがありました。

―その成功体験に対して、メンバーの反応はいかがでしたか。

実は、この成功体験が組織の内側にも大きな変化をもたらしたんです。

元々は年齢層も経験値も全く違うメンバーたちです。「自分のやり方が正解だ」と思い込んでぶつかることもありましたし、文化の違いに戸惑うことも多かった。獲得効率を追う「ダイレクト」と、価値を高める「ブランド」。一見交わらないと思われていた別々の強みが、掛け合わせることで爆発的な価値を生み出す。その事実を目の当たりにしたことで、皆の意識が変わったんです。

それぞれが互いの領域を理解しようと歩み寄り、自らをアップデートし始めた。メンバー全員が、この掛け合わせこそが自分たちの武器なんだと確かな手ごたえを共有できたんです。この出来事があったからこそ、バラバラだった私たちが本当の意味で「一つの組織」になれたのだと思います。単なる広告運用の代行会社を超えて、最前線に立つマーケティング集団として、これから進むべき方向がはっきりと見えた瞬間でした。

「言われたことをやる代理店」にはならない。マーケティング投資を、単なる「コスト」で終わらせないために

―今後どのような組織を創っていきたいですか。

私たちが目指しているのは、クライアントとともに事業を創る「パートナー」になることです。
クライアントから言われたCPAを守って「じゃあ1万円で運用します」と返すだけでは、本質的な課題には至りません。なぜそのCPAが設定されているのか。商品の原価や配送料はいくらで、継続率から逆算したLTV(顧客生涯価値)はどうなっているのか 。そうした「事業構造」そのものを深く捉えにいって初めて、マーケティング投資を単なる予算消化ではなく、中長期的な「事業資産」に変えていけると考えています。

だからこそ、クライアントの事業に深く入り込み、時には「この施策は数字が出にくいと思います」と、言いにくいこともはっきりとお伝えする必要があります。そうやって耳が痛いことも言い合える誠実な関係こそが、長期的なパートナーシップの土台になると信じています。

そこまで事業に踏み込むのは、最終的に私たちが向き合うのは「企業」ではなく「人」だからです。 こちらの提案を信じて、リスクを取って首を縦に振ってくれた担当者がいる。その決断を絶対に正解にしたいし、その信頼に何としても結果で応えたい。
そうやって本気で伴走して事業を伸ばした結果として、 巡り巡って、その担当者が社内で高く評価され、ご自身のキャリアをさらに飛躍させていく。そうした瞬間に立ち会えることも、この仕事の大きな醍醐味なんですよね。

自社の広告メニューを覚えるよりも前に、クライアントの事業の成長に誰よりも本気になれる。この姿勢が当たり前にある組織にしていきたいです。

── 最後に、中村さんが今後生み出したい「進化」について教えてください。

私が生み出したい進化は、組織の進化です。

戦略を描き、適材適所に人を配置し、仕組みを作り、文化を育てる。これらがカチッと噛み合ったとき、組織は単なる人の集まりを超えて、一人ひとりが自分の判断で動き、結果を出せる強いチームになります。今の私のマネジメントの本質も、まさにそこにあると感じています。

その仕組みの中から「マーケティングの匠」たちが次々と育ち、仮にいつか別の道へ進んだとしても「CARTA出身はやっぱり違うな」と称賛される。メンバーそれぞれが主役となってクライアントの事業を動かしていく、そんな誇り高い組織の姿をみんなで作り上げていきたいですね。