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EVOLUTiON

経営の進化

全員が「主人公」の会社をつくる。

“凡事徹底”で、個を、組織を、社会を進化させる。CARTA ZERO COO 西園正志が目指す理想のチームの在り方

「常に上を目指し、立ち止まらない」周囲からそう評されるのが、株式会社CARTA ZEROで代表取締役COOを務める西園 正志です。その歩みを支えるのは、学生時代から一貫する「自分たちの手で強いチームを創りたい」という情熱。そして「やるからには、もっと良くしよう」という、理想に対する至極自然な向上心です。「やった方がいい」と思ったことを後回しにしない。当たり前のことを当たり前にやり続ける。小さな実践の積み重ねによって、事業も組織も前進させる――。迷いのない歩みの源泉にある思考と経験を、本人の言葉から紐解きます。

西園 正志

Masashi Nishizono

CARTA HOLDINGS 執行役員
株式会社CARTA ZERO 代表取締役COO

2007年に株式会社VOYAGE GROUP(現 株式会社CARTA HOLDINGS)へ新卒入社。広告事業を皮切りに、メディアやコマースなど多領域において新規事業の立ち上げや拡大に携わる。2013年に同社執行役員に就任し、事業推進をリード。2025年より株式会社CARTA ZERO代表取締役COO(最高業務責任者)として、グループの新たな成長領域を牽引。

学生時代から続く、強いチームを創ることへの情熱

―これまでのキャリアと、仕事に向き合う上での軸について教えてください 。

大学卒業後、新卒で株式会社VOYAGE GROUP(現 株式会社CARTA HOLDINGS)に入社しました。学生時代はバスケ部でキャプテンを務めていたのですが、指導者がおらず、練習メニューから戦略まで自分たちで練り上げる環境でした。大変でしたが、それ以上にチームを成長させる面白さの方が大きかったです。社会人になっても、「自分の手で強いチームを創り上げていく」ことに挑戦したいと考えたとき、ベンチャー企業を成長させていくプロセスは、まさにその延長線上にあると思いました。

当時読んだ『ビジョナリー・カンパニー』という本にも強く影響を受けました。既に完成された大きな会社の一部になるよりも、自らも「会社を創った一人だ」と胸を張って言える過程を共にしたい。そのためには経営に携わり、より大きな影響を与えられる立場を目指すべきだと考え、当時伸びゆく産業だったインターネット業界、そしてVOYAGE GROUP(現 株式会社CARTA HOLDINGS)をキャリアのスタートに選びました。

入社後は、スマートフォン広告事業の拡大を牽引し、VOYAGE GROUPの取締役として、広告・コンシューマー両事業の統括を経験しました。現在は株式会社CARTA ZEROのCOOとしてデジタルマーケティングの全領域を自社で内包する組織を率いています。

よく「広告だけでなく多領域に事業を広げていてユニークですね」と言われますが、自分の中ではごく自然なことです。というのも、私にとって「この事業がやりたい」はスタートではないからです。目指しているのは、外部からは「一緒に仕事がしたい」と言われ、中のメンバーからは「ここで働いてよかった」と思ってもらえるような会社を創ること。その理想のためには、既存の枠にとらわれず、マーケットに必要とされる事業へ次々と挑戦していくべきだと考えています。クライアントやパートナーには領域にとらわれない解決策を、共に働くメンバーには常に新しい挑戦の場を提供する。このサイクルを回し続けることが、結果として内外からの信頼を築き、チームをより強くしていくのだと思います。

2025年11月に設立した「株式会社CARTA ENTERTAINMENT(カルタエンターテインメント)」もまさにその挑戦の一つです。「広告会社だから」という先入観を捨てて、今のデジタルマーケティングに何が必要かを考え抜いた結果、このクリエイタープロダクションという事業に辿り着きました。

入社3年目の新規事業経験が、仕事に向き合う姿勢の根幹に

―キャリアの転機になった出来事を一つ挙げるとするとなんでしょうか。

入社3年目に関わった新規事業です。海外のメディアを閲覧している日本人に対して、日本の広告を配信するという事業でした。いわゆるアドテクの初期のような取り組みです。

私は営業メンバーの1人として参加していましたが、売れない日々が続きました。

「これ、実はニーズがないんじゃないか?」「現場は相当厳しいぞ」というどん詰まり感はある。でも、それを口にしていいのか。単に自分の力が足りないせいで売れないだけなんじゃないか…。経営陣にどうフィードバックすべきか、相当悩んだことをよく覚えています。ほどなくして、その事業はクローズすることになりました。ただ結果的には、同じようなことをやっていた競合他社も、全員撤退しているんです。現場で起きている事実を濁さずに言葉にすること。それは、立場に関わらず果たすべき大事な役割なのだと学びました。

「成功する秘訣はやめないことだ」と言われますが、道は変えても良いし、無理なものは無理です。「やめることの難しさ」と「やめることは負けではなく、別の道を探せば良い」ということを、強く感じた経験でした。

―ここでの経験が、西園さんの仕事に向き合う姿勢の根幹を形作ったのですね。

はい。「全部自分でやる」という経験ができたことも大きかったです。それまでは営業担当として、売ることだけに集中していれば良かったのですが、新規事業なので分業ができるような体制ではありませんでした。広告メニューの価格設定から入稿まで手を動かしてみたことで、事業を成り立たせるにはさまざまな機能が必要なこと、事業は多くの人に支えられて成立するということを強く実感できました。

それ以来、どうすれば関わる人の能力を引き出せるのか、チームになった時に掛け算になっていくのかという視点を大切にしています。今は社内のメンバーを事業にアサインする立場ですが、「この状況で活躍してくれそうなのは誰か」を慎重に考えています。

目下の課題は「巨大なグループ企業のアセットをどう活かすか」

―現在のお仕事について教えてください。

現在の役割は、大きく言えば「進むべき方向を決めること」「そこに進むための障害を取り除くこと」です。CARTAは2026年1月にNTTドコモの連結子会社となりましたが、引き続き電通グループも約48%の株式を保有する主要株主であり、現在は両社のリソースを最大限に活用できる体制にあります。これによって、電通とドコモという巨大企業と連携しながら、事業を展開できるようになったのです。

CARTA ZEROの核となる戦略は、ドコモの膨大なデータを活用し、オンラインからオフラインまで一人の顧客体験を分断なく捉える「Single ID Marketing」の推進です。電通をはじめとしたパートナーとともに、この新しいマーケティングの形を社会に実装していくという方向性が明確にあります。ただし、扱っているアセットが大きい分、それを使いこなす難しさもあります。戦略を描くだけでなく、実行においてボトルネックがあれば、それを一つずつ潰していかなければいけません。

どれだけ構想が大きくても、実際には一歩ずつしか前に進めません。実行プロセスにおける一つひとつのボトルネックを確実に解消していく力が、今のCARTAには求められています。

広告業界全体を見渡しても、以前のような成長フェーズではなく、成熟段階に入っています。業界の再編も進み、「強いところがさらに強くなる」構造が見て取れます。この状況下で求められるのは、専門性と総合力の両立です。クライアントがCARTAに相談するきっかけとして、何らかの領域に尖っているという専門性は間違いなく必要です。ただし、クライアントの事業成長は、さまざまなアクションの掛け合わせで創出されるものです。「別の課題に取り組みたい」と相談されたときに対応できなければ、他社を頼ろうと離れていってしまいます。だから高い専門性と総合力の両方が求められています。

―業界の景色が変わっていく中で、「さらに強くなる」ためのアセットも手に入りつつある。この状況を受けて、社内のメンバーにはどんな言葉をかけていますか。

いろいろありますが、一番伝えているのは「主体性を持つこと」の重要性です。ドコモや電通から何かを与えられるのを待つのではなく、自分たちがアセットを使っていくのだ、という姿勢を持ってほしいです。

その延長として、「ポジションを取ろう」ともよく言います。AかBか問われた時に、間違っていてもいいから意見を言えるようになろう、と。もしBだと言って会社がAを選んだとしても、なぜAを選んだのかを教えてもらえばいいのです。それが学びになる。でもAもBも言わずに黙っている人は、次第に意見を聞かれなくなっていきます。そういう小さな積み重ねでしか、力はついてきません。間違っていてもいいから自分の意見を持ち、意思決定に関わっていく。そうすることで初めて組織を動かす「主人公」になれるんです。一人ひとりが「自分がこの会社を作っているんだ」という当事者意識を持つ。そんな集団こそが、私の理想とする強いチームの姿です。

やるからには、もっと上へ。理想の組織像に照らせば、まだ道半ば。

―仕事をしていて面白い瞬間はどんなときですか。

個人的に一番面白いのは、仮説と検証を繰り返すプロセスです。こうすればうまくいくのではないかと考え、それを実際に試し、結果を見てまた次を考える。この繰り返しが仕事の本質だと思っています。

―良い仮説を出すこと、それを検証し切ること。両方ともビジネスにおいて重要ですが、難しさもあります。その力を、どうやって磨かれたのでしょうか。

誰かに成長させてもらうのを待つのではなく、自分が関わって良くしたい。自分も事業や会社を成長させた要因の一つだと、自信をもって言えるようになりたい。そういう思いがずっとあります。そのためには自分から動く必要があり、そのためには自然と、仮説と検証を繰り返すことになる。その積み重ねで力がついてきたのだと思います。

―メンバーに西園さんの印象を尋ねると、「ぶれない」「常に上を目指している」という言葉が出てきます。ご自身では、どのように考えていますか。

特別なことをしている意識はないんです。ただ、最初に触れた「外からも中からも信頼される強い会社を創りたい」という理想に照らせば、今のCARTAは「まだ道半ばだ」という感覚があります。世の中には、私たちよりも優れた企業や、圧倒的に力のある個人がたくさん存在します。そうした存在にどこまで近づけているかと考えると、まだまだやるべきことがあります。せっかく挑戦するなら、そうした存在に少しでも近づきたいし、追い越していきたい。常に上を目指しているというよりは、「やるからには、もっと良くしていこうよ」という至極自然な向上心に近いですね。

「日々是実践」「凡事徹底」

―その高い理想を追い続ける中で、大切にしている考え方はありますか。

「日々是実践(ひびこれじっせん)」「凡事徹底(ぼんじてってい)」ですね。この2つは大事にしています。私は天才肌ではないので、何か一発で大きな成果を出せるタイプではありません。だからこそ、日々の積み重ねをどれだけ徹底できるかが重要だと思っています。

―「行動し続けること(日々是実践)」「当たり前のことをやり抜くこと(凡事徹底)」を何より重んじられているのですね。ただ、ドコモや電通という巨大なアセットを手にした今、普通なら仕組みや資本の力で一気に成果を出すことに目が向きそうですが、あえてこの地道な姿勢を大切にされているのはなぜでしょうか。

結局、信頼はそんなに簡単には勝ち取れないものだからです。まずは目の前で、確実な成功事例を一つ作ること。そこに尽きるんですよね。一つ成功すれば必ず次の相談が来ますし、その積み重ねでしか大きな現実は動かせません。

よりシンプルな言い方をすれば、「やった方が良いな」と思ったことはすべてやるということです。「あのお客さんに連絡した方が良いな」と頭に浮かんだら、すぐ連絡する。後回しにしない。良いアイデアも実行しなければ何にもなりません。

実はあのイチローも「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道」と、同じようなことを言っています。イチローのような天才ですらそうなのだから、凡人はなおさらやらなければならないと思います。

この姿勢は個人にとっても大事なことですが、会社全体で考えると、より大きな差になります。みんなが今日1つ実践すれば必ず進みます。数百人いる組織で皆がサボったら大きな差になります。私も100%できているわけではありませんが、少しずつ前に進めていくことを大切にしています。

―その姿勢が、「ぶれない」という印象にもつながっているのかもしれませんね。

ぶれないというより、判断の基準が比較的一貫しているのかもしれません。クライアントや組織にとって何が本当に必要なのか、私たちは何を積み上げるべきなのかを考えたときに、結局は地に足のついた実践がものを言うと、肌で感じてきました。

それに、自分はまだまだだと思っているからこそ、毎日の行動を雑にできないという感覚もあります。すごい人たちに少しでも近づきたいと思うなら、目の前のことをきちんとやるしかない。そうした感覚が、結果として周囲からは「ぶれない」と見えているのかもしれません。

組織の一員ではなく主人公として

―たとえば5年後に、CARTAが世の中からどういう見られ方をしている会社へと成長させたいですか。

今まで以上に、「CARTAと一緒に仕事をしたい」と思われる存在になっていたいです。単に規模が大きい、売上が高い、ということではなく、「あの会社と組めば成長できる」と思ってもらえる状態を作りたいです。

そのために私が大切にしているのが、メンバーや組織のポテンシャルを最大限に発揮させることです。一人ひとりの可能性が解き放たれたとき、そこにはクライアントや社会を大きく進化させる力が宿ると信じています。

ただ、その可能性は、与えられた役割の中にとどまっていては引き出せません。担当領域に閉じてしまうと、部分的な最適化を超えることができないからです。組織全体として成果を出し、社会に進化を起こすためには、当事者意識を持ち必要に応じて領域を越えて関わることが必要です。

私自身も、困っているところやボトルネックがあれば、担当に関係なく入りにいくようにしていますし、メンバーにも同じことを求めています。そうやって個々の力を引き出し、着実に成果を積み上げていくことで、社会の進化の一役を担う集団でありたいですね。

―その目標を達成するために、どんな人と一緒に働きたいですか。

求めているのは、「主体性」「向上心」「本質追求」「協働」の4つを持っている人です。この4つはメンバーに日々の業務でも伝えていますし、採用の場面でも一貫して伝えています。

合わせて、組織の一員という意識よりも、自らが主人公になって物事を動かしていく意識が強い人は、CARTAに向いていると思います。「こういうことやった方が良くないですか?」と提案すると、「じゃあやってみよう」と言われるような環境です。私自身も、そういった提案はどんどん実行に移せるよう背中を押します。苦戦している場面では後ろから支えることもありますが、主体性を大切にしています。

今後「CARTA出身者はここが強いよね」と言われることがあるとすれば、それは傍観者ではなく「自ら道を切り開ける人」「実行していける人」であることだと思います。うまくいくこともあれば、うまくいかないことも当然あります。ただ、うまくいかなかった経験も含めてすべて学びになりますし、その積み重ねが次の判断に活きてきます。そうした経験を重ねることで、「CARTA出身者は自ら道を切り開ける」という評価につながっていけばいいと思っていますし、実際にそういう人材が育つ環境であり続けたいと考えています。