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EVOLUTiON

経営の進化

今、CARTAとして本当のスタートを切るとき。経営陣に聞く、新中期経営方針に込めた想いと自分たちの使命

統合によって新たに生まれたメンバー同士のつながりが、組織力をより強固にした

2023年2月、CARTA HOLDINGS(以下、CARTA HD)は新たな中期経営方針 を発表しました。CARTA HDは2022年、パーパス「人の想いで、人と未来の可能性を、拓いていく。」を策定。「The Evolution Factory」として、進化をベースとした新たな目標が掲げられました。今回は、代表取締役会長兼CEO・宇佐美進典と代表取締役社長兼COO・新澤明男にインタビュー。中期経営方針に込めた想いや統合からの4年間で得たことについて、聴きました。

宇佐美 進典

Shinsuke Usami

株式会社CARTA HOLDINGS
代表取締役会長兼CEO

トーマツコンサルティング(現デロイトトーマツコンサルティング)などを経て1999年10月にアクシブドットコム(のちにVOYAGE GROUPへ社名変更)を創業、COOに就任。2001年サイバーエージェントの連結対象子会社化、2002年CEO(最高経営責任者)に就任。2012年サイバーエージェントからMBOで独立。2019年のサイバー・コミュニケーションズ(CCI)とVOYAGE GROUPの経営統合に伴い、株式会社CARTA HOLDINGSの代表取締役会長兼CEOに就任。

新澤 明男

Akio Niizawa

株式会社CARTA HOLDINGS
代表取締役社長兼COO

ソフトバンクを経て、1998年にサイバー・コミュニケーションズ(CCI)に入社後、2005年執行役に就任。新事業推進本部長としてeコマースやCGM系ソリューション開発などの新たなビジネスモデル構築を担当。2007年にはCOOに就任、2010年に代表取締役副社長、2013年より代表取締役社長に就任。2019年のCCIとVOYAGE GROUPの経営統合に伴い、株式会社CARTA HOLDINGSの代表取締役社長兼COOに就任。

―まず 新中期経営方針の概要について教えてください。

宇佐美 進典(以下、宇佐美):全体像からお話しすると、CARTA HDのパーパスとして掲げた「人の想いで、人と未来の可能性を、拓いていく。」の実現に向けて、「事業の進化」「経営の進化」「サステナビリティ経営」の3本柱を軸に進化していくことを経営方針に表しました。2019年にVOYAGE GROUPとサイバー・コミュニケーションズの2社が経営統合しCARTA HDが生まれ、2022年には、ミッション・バリュー、そしてパーパスを策定し、ようやく組織としての枠組みが固まったように思います。改めて社会的価値の創出に着目をしたとき、前述した3つの柱は不可欠なものだと考えました。

―パーパスにはどのような想いが込められているのでしょう。

宇佐美:2022年のグループ再編を機に、CARTA HDのミッションとバリューを策定し、行動指針は明確になりました。ただ、自分たちが何者なのかについてはまだ曖昧な部分が残りました。そこでミッション・バリューの策定から半年ほど遅れる形になりましたがパーパスも定めることにしたのです。役員陣をはじめ、さまざまなメンバーに、CARTA HDとして「どういう存在でありたいか」「何を大事にしていくか」と問いかけたとき、「人」が中心にいるからこそ事業を未来に進めていけるという気持ちがみんなの中に強くありました。そんな想いを込めたのがこのパーパスです。
新澤 明男(以下、新澤):経営統合から3年ほど経過した2022年、ミッション に「The Evolution Factory」を掲げ、「企業や社会に進化をもたらすスペシャリストが集う工房」として歩んできました。それを踏まえてパーパスを考える中で、たとえば「デジタルの力で」という言葉を使うかなど、さまざまな案を検討する議論がなされました。しかしCARTA HDの事業はどれも、一人ひとりのメンバーが持つ「社会をこうしていきたい」「世界にこんな価値をもたらしたい」という想いの上に成り立っている。そこからデジタルをどのように活用して未来を創っていくか、というのが自分たちの原点であると考え、「人の想いで、人と未来の可能性を、拓いていく。」との言葉にたどり着きました。

―パーパス実現の支柱となる「事業の進化」「経営の進化」「サステナビリティ経営」について、詳しい戦略や意図を教えてください。

新澤:まず「事業の進化」ですが、プロダクトの開発力やフロント力の強化を成長戦略として掲げています。2019年の経営統合の時点で経営計画を立てたときは、まったく異なる事業モデルの2社が一つになったということで、いわゆる垂直統合を意識していました。広告主・代理店・メディアレップ・メディア・テクノロジー会社という複数の側面を携えたCARTA HDは、幅広い切り口でクライアントのニーズに応えられる組織になりました。ですが企業の課題はどんどん多様化しています。それに呼応するように、連結子会社を新たに9社立ち上げました。縦軸でつながるだけではなく、各自が持つ能力をクロスするように掛け合わせればCARTA HDの可能性はさらに大きくなるということ。会社同士のシナジーを高めるために、もともと各社が持っていたプロダクト開発力やフロント力といった専門性を磨き上げることは、事業成長に欠かせないと考えました。

宇佐美:CARTA HDとして初めての中期経営計画「CARTA2022」を立てたのは、2019年の経営統合の3、4カ月後。それぞれが取り組んでいる事業との整合性を加味し、垂直統合という形で縦軸での連携を前提にして策定しました。統合から4年立ち、相互理解が深まった今こそ、自分たちはどうあるべきか、強みは何か、課題は何かーーゼロベースで再考する必要があると思ったんです。言ってしまえば、本当の意味でCARTA HDとしてのスタートラインに立ったのかもしれません。

―「経営の進化」では「人」を軸とした組織整備がテーマだと聴きましたが。

宇佐美:そうですね。人的資本の開示が求められる社会の流れをくみ取った背景はありますが、会社の競争優位性を生み出す源泉は何だろうと考えたとき、やはり「人」、つまりメンバーの存在という答えに着地しました。もちろん、単に誰でもいい訳ではありません。CARTA HDの経営理念に共感し、パーパス実現に向けて共に未来をつくるメンバーが、事業成長の根幹になる。そうした人材を採用し、彼らが「ここで活躍したい」と思える組織にしていくことこそ、会社としての使命です。経営の進化を図るために、人的資本の整備と拡張は欠かせない要素だと思います。

―「サステナビリティ経営」についてはどうでしょうか。

宇佐美:持続的に会社を存続させるためには、資本市場に対して利益創出して企業価値を高めると同時に、事業活動を通じて社会に貢献していくことも不可欠です。経済的価値と社会的価値の両方に重心を置くことは、これまでも取り組んできましたが、今後はより強く推進していくべきだと考えています。

新澤:コロナ禍を経たことで、DXの波が急速に広がるなど、デジタルが社会の基盤として大きな貢献をもたらすことは誰も疑う余地はありません。その中でCARTA HDができる社会的価値の創出は、やはり20年以上インターネットビジネスを主軸にさまざまな課題と向き合い続けてきた会社として、デジタル社会の基盤を支えることだと思うのです。この根幹を永続的に支えることこそ、自分たちの大きなミッションだと。もちろんこれまでもサステナビリティ経営は意識していましたが、今回の新中期経営方針を機に、サステナビリティ委員会を組成しました。具体的な基本方針を定め、実行に移し、サステナビリティ経営に注力していくつもりです。

―経営統合から今日までの4年間を振り返って、事業面の成果はどうでしょうか?

新澤:やはり横のつながりの重要性に気付けたことは大きな成果だったと思います。コロナ禍によってリモートワークを余儀なくされたことで、拠点を問わずいつでもどこでもスピーディーに顔を合わせられるようになりましたし、さまざまな所属会社や社歴の違うメンバーと話せる「ヒトノワラリー制度」でコミュニケーションが活性化されたように思います。
一方で、マクロ的な視点に立つと、不安定な社会情勢や円安など世界にとっても大きな変化があった時期でした。そこで自分たちの強みであるデジタル技術を使って何かできないか原点に立ち返り再考したとき、新たにつながりを深めたメンバーと新しい価値を創っていこうという空気が生まれました。それらは統合によって変化がもたらされた部分だと思います。
今年から、CARTA HDの事業セグメントにおいて、これまでのマーケティングソリューション事業とアドプラットフォーム事業を統合し「デジタルマーケティング事業」とします。これは、縦割りでセグメントした既存事業と異なり、あらゆるグループ会社で実行しているデジタルマーケティング領域を横断的に協力しながら推進していくのが目的です。デジタルマーケティングそのものを育てていくことを、これからの数年で取り組んでいきたいですね。

―組織面ではどのような成果がありましたか?

宇佐美:同じ組織に多様な人がいる強みを、一人ひとりが実感できた4年間だったと思います。もちろん統合当初はぶつかる場面も数多くありました。どちらも自分たちの企業文化を軸に成長してきた背景があるわけで、それぞれのやり方が正義だと思うのは仕方ないこと。でもそこから、バリューの一つに掲げた「違いを強さに」を各自が意識し、共通のゴールを見出すことで、自分にない強みを持つ人の存在を認め合えるようになった。その組織の変化が事業にも良い影響を与え、新規事業の立ち上げや発展につながっているのだと思います。

―一方、新たに浮かび上がった課題はありましたか?

宇佐美:この4年間、社会の変化、特にテクノロジーは大きく変化しました。社会課題に対して次々と新しいサービスやプロダクトが台頭する一方、私たちは組織風土の醸成にリソースを割いた分、ビジネスモデルで遅れを取ってしまったようにも思います。だからこそ、新澤が話した事業セグメントの変革や社会価値の創出に重きを置いた新中期経営方針となった。ここから市場の変化やチャンスなど外向きに視点を変えて事業成長を導いていきたいです。

新澤:宇佐美が言うように、企業が持つ課題って本当に多様なんです。経営課題もあれば人的課題もあり、現場レベルの課題も尽きない。そうした課題に向き合って自分たちが持つスキルやノウハウをフル活用できる企業であるべきということは、この4年間で改めて学んだことです。ひとつひとつの課題に真摯に向き合う大切さを再確認しました。

― 新たな経営方針を踏まえ、それぞれの展望を聞かせてください。

宇佐美:23年前「世界を変えるようなスゴイことをしたい」という想いのもと会社を立ち上げ、現状は当時思い描いていた状況にはまだ到達していません。しかし素晴らしい仲間に恵まれて経験も知見も蓄積された今のCARTA HDを見ると、本当に世界を変えられるんじゃないかという気持ちが湧き上がってくるんです。従業員数が増えたとか売上が急速に伸びたとか、企業を継続していく上ではとても大事なことですが、今回掲げたパーパスこそ創業当時の想いと最もリンクしていると思えてなりません。パーパスの実現に向けてモチベーションを高く持ち、内なるエンジンを動かし続けたいです。

新澤:日々生まれる新しい技術をキャッチアップしながら、デジタルマーケティング会社として企業の課題に向き合いながら、プロダクトを積極的に開発していきたいですね。目指しているのは、「このサービスもあのサービスもCARTA HDが生み出したもの」という世界感。デジタル社会を下支えする企業として、人や事業の進化を図っていきたいと思います。

―最後に、読者にメッセージをお願いします!

宇佐美:CARTA HDは常に進化を推進していく会社でありたいと思っています。進化を推進するというのは、自分たちが携わる事業や産業を推し進めていくことでもありますし、自分たちがいる会社そのものを進化させていく意味もあります。今CARTA HDでは、素晴らしい仲間たちが既存事業にも新規事業にも実直に取り組んでいますが、まだまだ進化できる可能性がある。今後その可能性を広げるために、多様なビジネスを展開しながら進化を推進していきたいと思っているので、ぜひ期待してもらいたいです。

新澤:不安定な社会情勢によって、前向きになれない人が増えていると感じています。するといろんな心のブレーキがかかって、「これは今はやめよう」「それはそのままでいいだろう」というネガティブな雰囲気が漂ってしまう。そうした社会の流れを変えて、明るくできるのがCARTA HDだと信じています。チャレンジを続けながら、世の中に光を照らす企業グループでありたいと思います。