カルチャーの進化
個の進化を組織の力に変え、一人では届かない成果を掴み取る
150名の本音と向き合うCARTA ZERO 執行役員 髙田葉が「適材適所」にこだわる理由。

順調にキャリアを重ねていた彼の転機は、20代で直面した「100本ノック」でした。企画が通らない日々の中で辿り着いたのは、小手先のテクニックではなく「顧客とエンドユーザーが真に求めているものを知る」というシンプルな答え。
やがてその気づきは、マネジメントにおける「忘己利他」の哲学へと繋がっていきます。プレイヤー気質から脱却し、150名の個性を「適材適所」で輝かせることで、一人では届かない大きな成果を生み出す。髙田が目指す組織の形に迫ります。
髙田 葉
Yo Takada
株式会社CARTA ZERO 執行役員
第1営業局 局長
2020年に帰任後、グループ会社の執行役員を歴任。2025年7月より株式会社CARTA ZERO 執行役員 第1営業局長に就任。現在は、電通および電通グループ各社を主なステークホルダーとする約150名規模の営業組織を統括している。
過酷な「100本ノック」が教えてくれたこと
―これまでのキャリアについて教えてください。
新卒で出版社に入り、デジタル部門で働いていました。そこから縁あって、現在のCARTA HOLDINGSの前身であるサイバー・コミュニケーションズの名古屋支社立ち上げに参画したんです。当時はまだ5畳半くらいの小さなオフィスで、ネット環境すらままならない。そんな場所で、3人のメンバーと朝から晩までがむしゃらに働く毎日でした。デジタルメディアの知識を、日々の膨大な業務の中で無理やり体に叩き込んでいくような環境でしたが、あの時に培ったハングリー精神が、今の自分のベースになっているのは間違いありません。
―その後、どのような業務に携わってこられたのでしょうか
電通へ出向し、デジタル領域にとどまらず、イベント企画から雑誌広告まで幅広い領域のプロモーションを経験。提案が通ることも増え、自分のやり方に手応えを掴み始めていました。
そんなとき担当したクライアントから「発想は面白いね。じゃあ次は1週間で100個の企画案を考えてきてよ」 と言われたんです。いわゆる「100本ノック」です。
最初は意気揚々と提案を持っていったのですが 、全く首を縦に振ってもらえない。10個、20個とアイデアを出しては否定され続けるうちに、ついには手持ちのネタが完全に尽きてしまいました。それでも1週間、文字通り限界まで頭を絞り尽くして100個の案を出したものの、結果は全滅。最後はもう自分の型やプライドを捨てて、クライアントに「何がダメですか?」「これってこういうことですか?」となりふり構わず聞きにいきました。
そこで初めて、自分が「最新の手法」や「どう面白く見せるか」といった、表面的な解決策ばかりを一方的にぶつけていたことに気づきました。顧客が本当に抱えている課題そのものに寄り添えていなかったんです。
大切なのは、手法や見せ方の議論の前に、そもそも顧客は何を解決したいのかという本質に深く潜り込み、対話を通じて「そうそう、そういうことだね」という正解を導き出していくこと。その本当の意味での「顧客視点」を徹底するようになってからは、提案の精度が劇的に上がり、プレイヤーとしての確かな結果に繋がっていくようになりました。

「自分のやり方」が通用しない。マネージャーとしての大きな気づき
―営業として、マーケターとして着実にスキルを伸ばし、CARTAへ帰任。その後マネージャーへと役割が変わっていきます。
正直に言うと当時は現場へのこだわりが強く、一人のプレイヤーとして自ら成果をあげることに意識が向いていました。そのためマネージャーという役割を深く捉え切れておらず、プレイヤー時代の延長でやれるだろうと思っていたんです。自分の成功体験をベースにしたやり方や基準をそのままメンバーに押し付けてしまっていましたし、「自分がやったほうが早いから」と、仕事を巻き取ることもありました。
とにかく、自分が一番動いて背中を見せれば、チームもついてきてくれるだろうと考えていたんです。
そんな中、チームから次々と人が離れていく苦い経験をしました。「特に不満はない」と言って辞めていく彼らを見て、初めは理由がわからなかったんです。
そこで自分なりにマネジメントの勉強を重ねる中で、ようやく一つの答えに辿り着きました。 良かれと思って自分が前に出ることが、実はメンバーを自分の型に当てはめ、結果的に成長の機会を奪っていたのだと。
それを機に、自分のやり方を押し付けるのをやめました。目指すべきゴールだけは明確にすり合わせて、そこに至るプロセスは個々人に任せる。そうやって権限を移譲し、対話を通じて個人のやり方を尊重するようになってから、組織が回るようになり、マネジメントにもプレイヤーとは異なる楽しさがあることに気づけました。
―プレイヤー時代とは、どう違うのでしょうか?
自分が最前線でゴールを決めるのとは違い、誰かの成長がまた次の誰かの成長を呼ぶという「成長の連鎖」に何よりの面白さを感じています。
「良いマネージャーの下には良いメンバーが育つ」と信じているのですが、一緒に働いてきた部下が、今度はその下のメンバーを成長させていく。そうやって個人の強みがチーム全体の力になり、自分一人では到底出せなかった規模の成果に繋がっていく。
その循環が見えた時の喜びは、プレイヤー時代にはなかったものです。仕事をしていると厳しい場面も多いですが、いざという時に諦めずチーム全員で立ち向かって乗り越えられた時、マネジメントという役割を担って本当に良かったなと心から思います。

「忘己利他」は究極の利
―そうした経験を経て、今の髙田さんが「仕事人生で一番大切にしている考え」は何でしょうか。
シンプルですが、「人の役に立つこと」ですね。以前は「自分が面白いと思える仕事をしたい」という思いが強かったのですが、今は「いかに他者に貢献できるか」という考えが軸になっています。
そう考えるようになったのは年齢や役職が上がっていく中で、ふと「自分は何のためにこの仕事をしているんだろう」と立ち止まった時期があったからなんです。若い頃は自分が面白いと思うことをできれば満足でしたが、それだけではモチベーションが続かなくなってしまって。自分を突き動かすものは何なのか。一度立ち止まって、これまでの仕事で一番嬉しかった瞬間を思い返してみたんです。
すると、意外にも自分のやりたい企画が通った時じゃなかったんですよね。クライアントの課題に真剣に向き合って、「あなたに頼んでよかった」と感謝された時だったんです。
マネージャーになった今も、それは変わりません。メンバーがそれぞれの力を発揮して、「このチームで働けてよかった」と言ってくれた時、一番のやりがいを感じます。
それに気づいたとき、「自分がやりたいこと」と「誰かの役に立つこと」って、実はすごく近いところにあるんだなと思えました。
―自分が前に出るのではなく、まずは相手のために徹するようになったのですね。
そうですね。そもそも僕らのような広告会社は、あくまで黒子なんです。だから、自分の「こういうことがやりたい」という思いは一旦脇に置いて、目の前のお客さんの事業に向き合うことが大切だと考えています。
僕が仕事をする上でずっと大切にしているのが「忘己利他(もうこりた)」という言葉です。己を忘れて他を利する。つまり、自分のエゴを捨ててまずは相手のために徹する。
でも、これは決して単なる自己犠牲ではないんですよ。黒子に徹して相手の成功に本気で貢献できれば、それは必ず揺るぎない信頼や、自分への確かな評価として返ってくる。巡り巡って、結局それが一番自分のためになるんです。
この考え方が、僕の仕事の根幹ですね。

100%の「適材適所」を目指して。個人のキャリアと組織を繋ぐ
―現在は150名という大きな組織を率いる立場にいらっしゃいます。その中で、髙田さんが掲げている「理想の組織像」とはどのようなものでしょうか。
究極的には、100%の「適材適所」が実現できている状態です。 組織は、多様なバックグラウンドを持つメンバーの集まりです。当然、一人ひとりの強みも違えば、「今後、こういうキャリアを築きたい」という志向性もバラバラです。そのため、経営戦略という大きな枠組みに、個人の「やりたいこと」をどうマッチングさせていくかが一番の勝負どころだと思っています。
―150人ものメンバーがいる中で、それを実現するのは容易ではないと思います。
そうですね。でも、「会社が決めた戦略だから、このポジションをやって」と上から割り振るだけでは、人は本当の意味で力を発揮できないと思っています。
一人ひとりの強みが一番活きる場所を見つけるためには、まず彼らが何に喜びを感じ、どこに向かいたいのかという本音を解像度高く把握しておく必要があります。
そのために、僕自身が150名全員と定期的に対話する場を持つようにしています。
もちろん、100%希望通りの仕事ばかりではありません。ただ、個人の志向と会社の戦略が重なるポイントを丁寧に見つけていくことで、そうした状況下でも「自分がなぜここで、この役割を担っているのか」という理由を自分なりに見出すことができる。その土台があれば、単なるやらされ仕事に終始せず、自ら試行錯誤しながら前に進んでいけるのだと思うんです。
そうした個人のパフォーマンスの総和が組織全体の生産性を高め、大きな成果に繋がっていく。だからこそ、適材適所の追求はマネージャーとして絶対に妥協してはいけない部分だと考えています。

個の「プロとしての自信」が、組織の進化を導く
―組織の生産性を追求する「適材適所」の先に、メンバーには何を手にしてほしいですか。
「自分はプロなんだ」という揺るぎない自信ですね。
私たちが向き合うのは、一筋縄ではいかない難易度の高い課題ばかりです。頭を使い続け、泥臭く本質に向き合って、局面を打開する。そうやって自力で成果を出した経験の積み重ねでしか、本物の自信は手に入りません。
きちんと仕事をして、正当に評価され、市場価値を高めていく。そうした自信を一人ひとりが積み重ねていくことを、僕は一番大切にしたいんです。
―最後に、髙田さんが今後生み出したい「進化」について教えてください。
メンバーそれぞれが強みを生かして難易度の高い仕事に挑み、成果を通じて、プロとしての揺るぎない自信を掴み取っていく。
どんな高い壁に対しても「やってやろうぜ」と笑って乗り越えられる、そんなタフでポジティブなプロフェッショナル集団を創っていきたいです。
その積み重ねの先に、パートナー企業の皆さんに「CARTA ZEROだからこそ解決できる」と言っていただける唯一無二の価値を届けていけるのだと信じています。
個の進化が、組織の進化を導く。それこそが、僕の目指す次の進化の形です。



