事業の進化
CARTAの第三の柱。コンシューマー事業が目指す進化の形を、執行役員に聞く
やらない後悔をしたくない。常にチャレンジ精神を大事に
古谷 和幸
Kazuyuki Furuya
株式会社DIGITALIO 代表取締役
株式会社CARTA HOLDINGS 執行役員
2011年にVOYAGE GROUP(現CARTA HOLDINGS)の取締役に就任。
2017年よりVOYAGE MARKETING(現DIGITALIO)の代表を務めつつ、現在ではCARTA HOLDINGSの執行役員としてコンシューマー事業全体を統括。
――CARTA HDはコンシューマー向け事業も幅広く手がけているのですね。
古谷和幸(以下、古谷):CARTA HD=広告会社のグループというイメージを持つ方が多いかもしれませんが、実際は広告以外の事業もいろいろと展開しています。世の中の変化やニーズに応じ、デジタルを起点とした新しいビジネスを積極的に立ち上げるグループです。中でもゲーム関連やふるさと納税、人材サービスなど、多様性に富んだサービスを展開するコンシューマー事業は、CARTA HDのバリューである「挑戦しよう」を体現している事業の集まりかなと思います。もちろん他SBUの事業会社も挑戦していますが。
――古谷さんはVOYAGE GROUP出身と聞きました。今までの経歴を教えてください。
古谷:2002年に、アクシブドットコム(後のVOYAGE GROUP)に入社したのがはじまりです。金融機関という畑違いの業界からの転職で、IT業界は未経験でしたが、入社以降は幅広い職種を経験させてもらいました。自社メディアの広告営業から広告企画のプロデューサーやCS業務など、メディア事業において幅広い業務に携わり、2008年に広告プラットフォームサービスを運営する「fluct」を設立。SSPやアドテク事業の推進に取り組んだ後、2017年から再度メディア事業全般を管轄し、2021年にCARTA HDの執行役員に就任。コンシューマー事業傘下にある事業会社数社の代表取締役と共に、コンシューマー事業の統括を担っています。
VOYAGE GROUP時代に、メディア事業をはじめとするさまざまなコンシューマー向けビジネスに携わり、いくつも新しいサービスを立ち上げてきました。そうした経験を活かし、今後も新たな展開を見据えるコンシューマー事業のバックアップに努めています。
――古谷さんが考えるコンシューマー事業の強みは何ですか?
古谷:CARTA HD全体に言えることですが、各グループ会社の責任者をはじめとする、経営メンバーのモチベーションがとても高いです。どの会社も、メンバー内で仲間意識を持ち、切磋琢磨しながら目的に向かっていくバイタリティを持っています。
さらに強みといえるのが、グループ会社間を行き来する横断的なコミュニケーションが活発であること。各社事業領域が違うので、得意とするところや強みも違ってきます。コンシューマー事業全体を統括する私は、どの会社の誰が何を得意としているか把握するように努めていて、社員同士をつなげる役割も担っています。ふるさと本舗がSEO対策に悩んでいれば、Lighthouse StudioのSEOに強い社員を紹介する。こうした会社間のコミュニケーションによっていいシナジーが生まれていると思います。
――古谷さんが、社員と関わる際に心がけていることはありますか?
古谷:CARTA HDの執行役員かつコンシューマー事業の責任者という、さまざまなサービスに携われる環境にいますので、状況に応じてやるべきことを考えながら取り組んでいます。また執行役員という立場ではありますが、できるだけフラットにメンバーと接することを意識しています。会議や1on1を通じてキャッチアップしたさまざまな課題は、CARTA HD全体でクリアできるのであれば、人と人の架け橋になったり、サポートをしたりと、解決を促すよう努めています。各社が成し遂げたいことや目指しているものを深く理解し、メンバーと同じ視点に立ち、実現するための方法やアプローチを一緒に考える機会も多いです。これからも彼らの身近な相談役として関わっていきたいですね。
――今までさまざまなサービスの立ち上げに携わり、事業拡大に尽力してきた古谷さんですが、ビジネスをつくる上で重視していることはありますか?
古谷:一つはチームづくりです。どの会社においてもリーダーや中心的人物がいるので、彼らを起点に、メンバーが事業を推進しやすい環境を整えることを心がけています。チームづくりには、正解もマニュアルもありません。コンシューマー事業では10社の事業会社を抱えていますが、組織が置かれているフェーズも責任者の考え方やコンディションも異なるため、状況に応じた関わり方をしなければならない。綿密にアドバイスをした方がいいケースもあれば、メンバーに全て任せた方がいいケースもあります。通り一遍ではなく、それぞれの状況に沿った対応が必要かなと思っています。
――他に重視していることはありますか?
古谷:ビジネスの成功を左右するのは、戦略や自分たちの能力だけでなく、世の中の情勢や市場環境が要因となることも多いです。ですので好機を見逃さないために、好奇心をなくさず、常日頃から多方面にアンテナを張るようにしています。幸いいろんな人とコミュニケーションを図るのが好きな性格なので、面白そうな話や興味深い話題には耳を傾けてみます。そして事業計画を練る手前の段階であれこれと妄想をしてみるんです。「自分たちだけでできるかな」「難しいかな」と。そこで自分たちだけでは成功する可能性は低いけど、どこかの企業と組めばできると判断すれば、協業を視野にいれることもあります。挑戦したいと思ったときに、自社のリソースとアセット、外部のアセットを思い起こし、組み合わせながら事業の形を考えていくのが、私の方法ですね。
――イメージを膨らませるのですね。今まで失敗もありましたか?
古谷:もちろんあります。でも野球においても、10割打者はいませんよね。3割で名選手と言われている。そのくらいの気持ちでいた方がいいです。走り出してから、引き際のタイミングを見極めたり、どんどん変化する環境にアジャストさせたりと、計画を柔軟に変える必要はありますが、まずは挑戦してみることが最も大事。VOYAGE GROUP時代から、新規事業や新しいサービスの立ち上げなどいろいろなチャレンジをさせてもらいましたが、CARTA HDになってもその環境は変わりません。やらない後悔より、やって失敗したときの後悔の方が許容できる。何より、事業を創ることは本当に楽しいです。
――チャレンジを続けていく上で、社員の在り方はどうあるべきと考えますか?
古谷:これからもサービスやシステムのコモディティ化は進み、付加価値の付け方が難しくなると思うので、新しいビジネスを生み出す力だけでなく、いかに付加価値の高いサービスや事業を創っていけるかが大事な時代になってきます。ときには社員自身が持つ知見や知識、価値観を変えなければならない場面も出てくるでしょう。でも今までの形にとらわれず、柔軟な考え方を持つことが、次なるチャレンジにつながっているのだと思います。
CARTA HDは事業の領域が広いからこそ、社員の選択肢も広いです。たとえばマーケティングに携わりたい社員は、D2C事業のマーケターになれる可能性もあれば、アドプラットフォームのマーケターも経験できるかもしれない。コンシューマー事業であれば、所属する会社によって扱うサービスが異なるので、さまざまなプロダクトづくりに携わることができます。一つの会社にいながら、多様な経験ができるのがCARTA HDの魅力だと思います。
――CARTA HDのキーワードである「EVOLUTiON/進化」。今後コンシューマー事業をどのように進化させていきたいですか?
古谷:どのような事業においても使い手の立場になったビジネス展開を考えますが、特にコンシューマー事業は、ユーザーとの距離が近いです。だからこそお客様の生活にフォーカスし、日々の暮らしの中で、利便性や楽しさみたいなものを向上させられるようなサービスを提供していきたいですし、普段何気なく使ってるものが実はCARTAが提供してる物だったり、生活に溶け込む商品やサービスをつくっていきたいです。自社の事業やサービスを進化させながら、世の中にいい変化をもたらすことができれば嬉しいですね。
このようなサービスを生み出せる強い組織になるためには、個人も進化しなければなりません。飛躍的な進化はないかもしれませんが、昨年の自分と比べて今年は成長したと感じることができたら、それは一つの進化。進化する人間が集まる組織は強いと信じています。進化というのは人の成長やサービスのクオリティアップなど、あらゆる場面で使われる言葉なので、要所で進化を意識することこそCARTA HDメンバーのミッションだと思います。