テクノロジーの進化
新事業「技育プロジェクト」を通して、社会課題である「エンジニア不足」を解決。運営メンバーが語る舞台裏
CARTA HDだからこそ、ゴールに向かって全力を注げた
桑原 利旺
Rio Kuwahara
株式会社サポーターズ
技育事業本部
本部長 兼 セールス・プロモーション室長
上野 美菜子
Minako Ueno
株式会社サポーターズ
技育事業本部 運営統括
――まず、お二人の仕事内容を教えてください。
桑原利旺(以下、桑原):2019年にCARTA HDに新卒で入社し、希望していたサポーターズ配属後から一貫してセールスを担当しています。クライアント企業とコミュニケーションを図り、採用課題の解決に向けた戦略を策定し実施することが主な業務です。また技育プロジェクトに協賛してくださる企業のフォローにも携わっています。
とはいえ、サポーターズは40名ほどの組織なので、私の役割はセールスに限りません。自分から手を挙げてマーケティング部門にジョインをしたり、昨年広報部門の立ち上げから任せてもらったりと、複数のポジションを兼務しています。今回のインタビューも、サポーターズの存在をより多くの人に認知させたいと思い、僕の方からCARTAの広報にお願いして実現しました。サポーターズの活動の中でも、社員一同力を入れている技育プロジェクトについてお話できる機会をいただけるのは、とてもありがたいですね。
上野美菜子(以下、上野):2016年に中途採用の営業職としてサポーターズに入りました。当時はまだ、就活における都心と地方の情報格差が大きいとき。その中で、交通費支給など活動資金を一部負担し、郊外の学生も支える取り組みを実行する姿勢に魅力を感じました。「カッコイイオトナを増やす」というスローガンにも惹かれ、この場所にいれば自分もカッコよくなれると思い入社しました。
当時の社員数は10名ほどだったため、学生の登録を促すためにイベント主催や大学回りも並行していました。
現在は、技育プロジェクトのイベント企画・運営に携わっています。学生向けの活動で得た経験を活かしながら技育プロジェクトを進行しています。
――そんなお二人が推進している技育プロジェクトとはどのような取り組みなのでしょうか?
桑原:技育プロジェクトは、まさに「『技』術者を『育』てる」、学生向けのキャリア支援プログラムです。ミッションは「自ら考え、自ら創る人を増やす」。10年ほど採用支援事業を手がけてきた当社では、ゼロからのものづくりをやりきった経験が、エンジニアとしての成長に大きな影響を与えると考えています。プログラミングスクールに通い、教材に沿って勉強しても一定レベルのスキルは身に付きますが、エンジニアの真価の一つでもある自ら課題を定義し自ら解決する能力はなかなか習得できません。そこで私たちは、ゼロイチを考え創ることができる人材の輩出にフォーカスし、インプットとアウトプットのどちらも鍛えられるプログラムを意識して、技育プロジェクトを企画・設計しました。
――そうした背景があったのですね。具体的な内容を教えていただけますか?
桑原:四つのイベントで構成されており、全て学年不問で参加ができます。
まずは、このプロジェクトの象徴的な活動である、学生エンジニア向けのオンラインテックカンファレンス「技育祭」です。こちらは、IT業界の著名人による講演や対談などもあり、良質な情報のシャワーをひたすら浴びることのできるインプットの場。無料配信のため学生にとって参加ハードルが低く、エンジニアリングに興味を持つきっかけになることもあります。
技育祭でインプットしたものをアウトプットすることで、学びの定着を確実なものにするために設けたのが「技育展」。応募された開発作品の中から優勝作品を決める、いわゆるピッチコンテストです。書類選考を通過した応募者は、3週間後の最終プレゼンに向けてスポンサーのIT企業からフィードバックを受け、作品をブラッシュアップします。学生と企業が深い接点を持つことができるイベントでもあります。
そして、もう少しライトなアウトプットを叶えるのが「技育CAMP」です。専属メンターや講師が付き、2dayハッカソンを毎月1回、技術イベントを年50回実施。学生同士がつながりを育めるコミュニティの役割も担っています。
最後が、唯一オフラインで開催する「技育博」。エンジニアの学生団体やサークルの中心メンバーが全国から東京に集まり、企業と学生あるいは学生同士が交流を図れる場所です。コロナ禍で失われた繋がりを取り戻し、学生同士でのイベント共催や共同開発などに繋げてもらうことを狙いとし、企画したイベントです。
上野:この内、技育祭と技育展は2020年から単体のイベントとして実施していました。この二つを基にすれば、参加学生の成長機会をより広げるサイクルを作れるのではないかと考え、2021年に技育プロジェクトとして再スタートをきりました。
――着実に技術力を習得できるプログラムなのですね。どのような学生が参加し、どのような反応がありましたか?
上野:四つのイベントで成り立っている技育プロジェクトですが、すべてのイベントに参加するヘビーユーザーもいれば、単体で活用する学生もおり、参加スタイルはさまざまです。属性は、理系でもともと技術力のある学生が多いものの、文系やエンジニアリング未経験の学生も参加しています。参加者からの声やその後の変化は、私にとってもうれしいものばかりでした。
たとえば、就活の一環として技育CAMPに参加した、ある学生のこと。ハッカソンの中で周りに追い付こうと必死に勉強していたら、開発の楽しさに没頭していったとのことでした。そしてハッカソンに何度も挑戦するうちに、いつの間にか技育展の選考に残るまでの作品を創れるようになっていたんです。本人もそこまで見越した上でCAMPに参加したわけではなかったようですが、インプットとアウトプットのサイクルを経験できる技育プロジェクトの仕組みが、結果的に技術力の向上に効果的な作用をもたらせたのだと思います。こうした学生の成長は、私たちとしても想定外でしたし、人生を変えるきっかけを掴む機会を提供できたのかもしれないと喜びがこみ上げましたね。
桑原:企業がエンジニア職として採用したい人材の多くは、ゼロから作品やサービスを創った経験のある学生。一方で学生は「頑張りたいけど何をどう頑張ればいいか分からない」という焦燥感を感じています。インプットと同時に、それをアウトプットする開発の機会も提供することで、エンジニアとして就職する道筋を学生に示していくことができれば、私たちとしても本望ですね。
――初年度から、協賛・参画した企業も多かったと聞きました。その理由は何だとお考えですか?
桑原:エンジニア不足が社会問題化する中、どの企業も新卒エンジニアの採用については難航しています。有効なアプローチ方法やツールが見つからなかったり、募集条件の設定に悩んだりしているのが現状です。だからこそ2020年に単体で開催した技育祭の盛り上がりを知って、良い学生と出会える場所だと認識し、さらに効果があると感じてもらえたのが大きかったと思います。技育プロジェクトがエンジニアの新卒採用における打開策になると捉えてもらえたのではないでしょうか。
また、この企画に対して強く共感いただき、最初に協賛を決めてくださったのがサイバーエージェントとディー・エヌ・エーの役員の方々でした。そうしたトップカンパニーの方々が先陣を切ってくれたことで、他のIT企業の方々からもご支援いただけることが多くなったと感じています。
上野:協賛企業がいなくては技育プロジェクトは成立しません。それは資金面だけでなく、技術的な支援に関しても言えることです。各企業のトップエンジニアの方に、技育祭での登壇、技育展のメンターなど、さまざまな場面で協力をしていただきました。正直私たちの力だけでは、学生を育てていける仕組みや環境は整えられませんでした。協賛企業の方々には本当に感謝しています。
桑原:私も同感です。技育プロジェクトの企画段階では、学生が集まることは予想できましたが、企業から支持を得られるかどうか不安もありました。でも、資金的にもリソース的にも、協賛企業がいなければ開催自体できないので、影響力のある企業を巻き込めるような企画を考えなければならない。ゼロからラインナップを考える作業はワクワクしながらも、かなり大変ではありました。
――技育プロジェクトを通して感じたCARTA HDの良さはありますか?
上野:技育プロジェクトは、基本的にオンライン上で開催しています。システム部門をはじめ、他部署と連携を取りながらプロジェクトを進める場面もたくさんありました。各部門に所属する多様なスキルや知識を持つ方の協力なしではスムーズに進められなかったと思いますし、日々周囲のサポートのありがたさを実感しながら運営に臨んでいました。
今回の技育プロジェクトに限らず、日頃から別の部署で働く社員の存在は、私にとって刺激にもなっています。CARTA HDにはグループ内の別会社で働く社員と交流を図れる制度があります。同じ環境にいる人には相談しづらい悩みを打ち明けたり、相手が携わっている事業や取り組みについて教えてもらったりできます。違う環境で頑張っている社員とつながりを持てるのはCARTA HDならではの良さですね。
桑原:CARTA HDという大きな組織だからこそ受けられた恩恵が山ほどあります。その一例が技育祭で実施する講演会の登壇者。会長の宇佐美の声がけにより登壇を快諾してくださった方もおり、結果的に豪華なゲスト陣の講演をフックにイベントを開催することができました。また、技育プロジェクトについて決めるべきこと、実行すべきことが数多くある中で、オフィスが整っていたり、スペックの高いPCがあったりと、ハード面における働く環境が万全なのは、改めてCARTA HDの魅力だと感じました。
――最後に、技育プロジェクトの展望も含め、今後の目標を教えてください。
桑原:技育プロジェクトは今年度が2年目ですが、自分たちの想像以上に学生の技術力が成長したことを実感しています。これからは、より社会的な認知拡大のために、キャッチーなコンテンツづくりも手がけ、プログラミングに興味を持つ学生を増やしていくことができたらうれしいですね。
個人としては、事業責任者を目指しています。技育プロジェクトをはじめ、自分たちの目指すゴールに向かって仲間と協力しながら事業を進めていくのは純粋に楽しいんです。今後は、自由さと責任感を持って組織をリードできる存在となるのが目標です。
上野:技育プロジェクトでは学生さんに向けた活動がメインですが、今後は社内にも目を向けて、サポーターズ社員のエンゲージメントを上げる取り組みにも携わっていきたいです。技育プロジェクトを通して蓄積したイベント開催やコミュニティづくりのノウハウは、組織構築にも活かせる要素が多いと思います。サポーターズ内にもさまざまな商材があって各分野でチャレンジするメンバーが大勢いるので、みんなが自分たちの組織をもっと好きになれる環境づくりに貢献していきたいです。
技育プロジェクトに関しては、桑原さんと同様で、もっとエンジニアリングに触れる機会を提供する場にするつもりです。エンジニアになりたい人だけではなく、少し興味を持った人がイベントに参加して、合わなければやめても構わないと考えています。まずは「プログラミングや開発とは何だろう?」と考えるきっかけを持ってもらうことが大事。その点を意識しながら、プロモーションや運営に取り組んでいきます。