カルチャーの進化
CARTAの社員コミュニケーションを促進している「UNITE委員会」って、どんな組織?

田中 宏征
Hiroyuki Tanaka
株式会社CARTA HOLDINGS
コーポレートブランド室 室長
UNITE委員会 副委員長
株式会社サポーターズ 取締役
2023年7月からはカルチャー醸成をミッションに、株式会社CARTA HOLDINGSのコーポレートブランド室の室長に就任。2024年よりUNITE委員会副委員長を兼任。
新オフィスを舞台に事業部を超えた交流を生み出せ!UNITE委員会が臨んだ、勝負の一年。
虎ノ門オフィスに移転して早くも1年が経過しました。移転後すぐに「UNITE委員会」が発足しましたが、この「UNITE委員会」とは、どんな組織なのでしょうか。
UNITE委員会は、2023年12月末のオフィス移転をきっかけに発足しました。新オフィスを活用して様々な人と人の交流を生み出し、新たな出会いや新しいアイデアの創出を促すこと、社員のエンゲージメントを高めてCARTAへの事業貢献意欲の向上を目的に立ち上がった委員会です。現在は、オフィスのコンセプトである「セレンディピティ」を活動の主軸に据え、事業部・部署を超えた偶発的なコミュニケーションを生み出すための施策を中心に活動しています。
委員会メンバーは約15名。CARTAは多くの子会社があるため、偏りなく意見を取り入れられるよう、様々な事業部・部署のメンバーに直接声をかけて集めました。また、社歴の長い方に参画してもらい、新卒から中堅、ベテランまで、様々な方の意見が集まりやすくしています。
発足のきっかけは何だったのでしょうか。
きっかけは宇佐美さんからの一声だったと思います。しかし、その声がかかる前から、今回のオフィス移転にあたって「最初の一年間が勝負だな」と感じていました。
東銀座と渋谷のそれぞれのオフィスが統合されることに対し、当時は少なからず反対の声がありました。オフィス統合自体への反対というよりも、それぞれ東銀座、渋谷という思い入れのある地を離れることへの抵抗があったのかなと思います。それに加えて、互いのカルチャーが混ざり合っていくことへの不安も感じられました。だからこそ、移転後の一年間で「新しいオフィス、悪くないな!」と思ってもらえるような体験を重ねていくことが重要であると考えていました。
そんな矢先にUNITE委員会の話が持ちあがり、もともと考えていた計画と近い事が実現できそうだと思い、参画を決めました。

その「勝負の一年間」を終えてみて、社内の変化は感じますか。
施策に参加してくれた方の声を聞くと、社内のコミュニケーション促進につながっている実感はありますね。UNITE委員会発足当初は、出社促進などオフィスを有効活用するための施策を生み出すことを目的に活動していました。しかし、定量的な目標の設定が難しいという壁にぶつかり、まずはオフィスを活性化するための施策の実施を目標とすることにしました。
顔は知っているけれど…。声を掛ける背中を後押しする「UNITEランチ」&「U-Night Party」
具体的な取り組みに関して教えてください。
ランチ、ブレイクタイム、アフターワークの3つのタイミングごとに施策を考えて、実施しています。企画を練るにあたり、まず、社員同士の関係性について考えました。1,400名という規模になると、毎日顔を合わせる人もいれば、CARTAの社員かどうかもわからない人、一度やりとりをしたことがある人、時々食事に行く人など、様々な距離感があると思います。新しいオフィスの方針として、人と人との交流が生まれやすい設計が採用されているため、顔や所属をなんとなく知っている人は多いと思いますが、話したことがない場合も少なくありません。そこで「知っているけれど話したことがない」という関係性の社員に着目して、会話を誘発するような施策を考えていきました。
こうして生まれたのが「UNITEランチ」です。これは、自分が所属する部署・チーム以外のCARTA社員と相席ランチを行い、その様子を社内チャットに投稿すると、社内のお弁当販売で使える割引チケットがもらえるという施策です。

ブレイクタイム向けの施策としては、社内勉強会の後に参加者同士でさらに交流を深められるよう、社内カフェの割引チケットを用意したりしました。
ちょっとしたインセンティブを用意することで初対面の人に声をかける口実ができ、これをきっかけに会話をしてもらう狙いがあります。

アフターワークのタイミングではどんな施策を実施しているのですか。
「U-Night Party」というイベント施策を行っています。この施策は、僕自身もすごく楽しみながら実施できているイベントですね。
アフターワークでも何か施策を、と考えた時に、せっかくなら広いオープンスペースやキッチンといったオフィスの設備を活かして何か面白いことができないかなと考えたのが始まりでした。UNITE委員会の名前をもじって「U-Night Party」と名付けることで、社員同士のつながりを生み出すイベント…という雰囲気を醸していますが、実際はフードやドリンクの提供が中心です(笑)。
ただ、これが結構評判が良いんですよ。毎回300名ほどの社員が参加してくれています。ちなみに役員陣も参加しているので、飲んでいたら横に社長がいる、なんてこともよくありますよ。

最初は仲のいい社員同士が誘い合って参加することが多かったのですが、回を重ねるごとに、他の事業部とのネットワークをつくるために参加される方や、中途入社など新しくCARTAに加わったメンバーを歓迎するために参加する方が増えてきました。中途入社のメンバーにとっては、CARTAという会社を理解する上でも役に立っています。実際に、イベントを通じて様々な事業部の方と交流でき、CARTAに対する理解度が深まったという声もいただいています。
また、毎回参加しても飽きないように、役員からスイーツの差し入れをしてもらったり、社内のバンドサークルとコラボしたりと工夫しています。最近では、所属がわかりやすいように各事業会社のロゴシールを胸に張ってもらったり、社内エンジニアに協力してもらい、QRコードを読み込むことで交流した人が記録できるシステムも試しています。
面白いかもと思って始めたことが、しっかり価値を発揮していて、改めていい施策が生まれたなと思っています。
銀の弾丸は存在しない。楽しみながら様々なアプローチを考える。
会社全体を巻き込む中で、うまくいかないことも多々あったかと思います。どのような点が大変でしたか。また、それをどのように乗り越えたのでしょうか。
実際に取り組んでみると、積極的に参加してくれる社員がいる一方で、予想より参加者が少ないこともありました。そんなときには、委員会メンバーに不参加の方にヒアリングをしてもらいました。例えば、UNITEランチに対して寄せられた意見の一つには「インセンティブがあるとはいえ、初対面の人を誘ってご飯食べるのは心理的コストが大きすぎる」という声がありました。まぁ、そうですよね。(笑)
しかし、他にも様々な意見を吸い上げたことで、一つの施策で全社員が満足でき、すべての課題を解決するベストプラクティスは存在しないということを再認識できました。結果として、様々なアプローチで少しずつ社内のつながりを増やしていこうという、新たな施策のヒントになりました。
UNITE委員会を進める上で、意識していることはありますか。
施策を考える際には、UNITE委員会のメンバーが楽しみながら考えられているかという点を常に意識しています。もちろん、課題に対して向き合うという基本姿勢は大切ですが、運営側自身が面白いと思える内容でなければ盛り上がらないと考えているからです。このことは、UNITE委員会発足当初からずっと伝えています。そのため、ミーティングも堅苦しい雰囲気ではなく、笑いが絶えない中でアイデアを出し合っています。社内カフェでばったり会って、その場で相談することもよくありますよ。

「進化」し続ける、CARTAらしいカルチャー醸成を目指して
2025年もUNITE委員会は継続するという事ですが、今年はどんなことに取り組んでいきたいですか。
2024年は様々な施策にチャレンジすることができたものの、まだカバーできていない課題も多くあります。そのため、今年も新しい施策を実施していきたいです。
アイデアベースではありますが、例えば「ファミリーデー」のようなイベントを考えています。CARTA社員の中には子育て中の方も多くいるので、子どもたちがパパやママの仕事場を見学できる機会や、オフィスを活かした楽しい体験を提供したいですね。また、若手社員からは、親御さんに職場を見てもらいたいという声もあります。このような要望を含めて、ファミリーデーの実施は、社員のエンゲージメントを高めることに繋がるのではないかと考えています。準備には時間とかなりの労力がかかると思いますが、それが体験として喜んでもらえるのであれば、チャレンジする価値はあると思います。
UNITE委員会を通じて、どのようなCARTAの未来を思い描いていますか?
CARTA HOLDINGSは、1つの大きな会社(ホールディングス)が様々な分野の事業会社を統括する「HOLDING体制」をとっています。ホールディングスは、事業会社が一つに集う意味や意義を理解して、その価値を生み出すのが重要なテーマの一つだと思っています。
ホールディングスは「進化」を起こしやすい環境を整えて支援し、事業会社はそのリソースを効果的に活用して「進化」を生み出す。これが基本思想だと思います。
その前提の上で、UNITE委員会では、オフィス空間を活用して、自然に「進化」が促される環境づくりをしていきたいと思っています。日々、様々な事業に向き合いアイデアを生み出している社員同士が互いの知見や情報を交換することで、一人では届かなかった「進化」に辿り着く。そうしたセレンディピティを楽しみ、「進化」のサイクルを回し続けることがCARTAの企業カルチャーの目指すところだと考えています。UNITE委員会を通じて、そんなCARTAらしいオリジナルなカルチャーを醸成していきたいです。
