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事業の進化

CCIのソーシャルメディアマーケティング戦略ーープラットフォームの価値を最大化させ、市場の成長を支えるインフラを目指す

メディアレップからの脱却、切り札となる3つの戦略 第2弾

2021年、メディアレップから総合デジタルマーケティングサービスへの事業転換を打ち出した株式会社CARTA COMMUNICATIONS(以下、CCI)。代表取締役社長の目黒拓はインタビュー(※)にて、脱メディアレップの切り札となる3つの戦略「データマーケティング」「ソーシャルメディアマーケティング」「eコマース」について語りました。
今回は、その2つ目のソーシャルメディアマーケティングにフォーカスを当て、ソーシャルメディアマーケティング局長の後藤駿弥にインタビュー。市場の動向、広告の費用対効果を高めるための施策、そして、CCIの強みを聞きました。

(※)代表取締役社長の目黒拓のインタビュー記事
CCI、メディアレップから総合デジタルマーケティング企業としてさらなる進化を目指す。
https://evolution.cartaholdings.co.jp/article-0039/

後藤 駿弥

Shunya Goto

株式会社CARTA COMMUNICATIONS
第1メディアビジネス・ディビジョン
ソーシャルメディアマーケティング局 局長

2015年にCCI入社。複数のメディア・プラットフォームの担当、セールス協業を経て、2020年からチーム・マネージャーとしてプラットフォーマーとのビジネスディール設計やアライアンス業務に従事。2021年からソーシャルメディア領域を担当し、CCI Social AdTrim の立ち上げにも携わる。2022年、ソーシャルメディアマーケティング局長に就任。

AIの活用が進む市場で、立体的なコミュニケーションプランニングを提供

―ソーシャルメディアマーケティングとはどのようなものでしょうか。

後藤:マーケティングには大きく分けて2つの価値があります。「多くの人に情報を届けられる」という価値と、「多くの人から情報を得られる」という価値です。ソーシャルメディアマーケティングは、その2つの観点で非常に有効なマーケティング手法の1つです。「ソーシャルメディアとは何か」を今さら説明するまでもないかもしれませんが、言ってしまえば、個人による情報発信や個人間のコミュニケーションが生み出される「場」です。人が集まる「場」には、遥か昔から広告価値・マーケティング価値が生み出されてきました。今やソーシャルメディアは人々の生活に欠かせないものとなっていて、世界中の多くの人々が利用しているため、そのマーケティング価値も計り知れません。

「情報が得られる」というのは、顕在化したニーズや、潜在的なインサイト、プロモーション施策の反応などが得られる、ということです。「情報を届ける」という観点でいうと、個人間のコミュニケーションが行われる場に企業が入り込んでいく際には、企業もいち「個人」としての顔を持ちながらコミュニケーションを図ったり、時に一転して「法人」としての顔で広く情報を届けたりと、状況や目的に応じてコミュニケーション方法を切り替えていく必要があります。また、影響力のある個人の口から代わりに企業やサービスのことを語ってもらう方が有効なこともあります。それらを具体的な手段に落とし込むと、企業のSNSアカウントから発信する情報の戦略策定だったり、SNS広告の運用・コンサルティングだったり、インフルエンサータイアップの企画だったりになります。そういった情報や手段を統合的・立体的に組み合わせて、事業会社の課題解決に繋げていくことが、ソーシャルメディアマーケティングだと考えています。

―ソーシャルメディアマーケティング市場の動向について教えてください。

後藤:ソーシャルメディアが誕生してから、その市場はずっと右肩上がりで成長を続けていますが、市場ニーズは年々変化しています。当初はマス広告の延長線で、「とにかくインパクト」が重要視されていたような印象でしたが、昨今ではこれまで以上に広告の費用対効果が求められている印象で、少しでも効果を高めるためにはどういった施策の組み合わせが最も有効なのかを追究していくことが大切になってきています。

組み合わせられる変数のことを、運用型広告の領域においては「レバー」と呼んだりもしますが、MetaのASC(Advantage+ショッピングキャンペーン)やGoogleのP-MAX(パフォーマンス最大化キャンペーン)など、プラットフォームのAIを活用した進化により、人間が操作できるレバーは徐々に少なくなってきています。その状況下で広告の費用対効果を高めていくためには、AIが最大限のパフォーマンスを発揮できるようにデータインプットの質と量を向上させる、というアプローチもあれば、広告のみならずオーガニックアカウントの運用まで広告投資の解釈を広げて運用レバーを増やす、といったアプローチもあると考えています。AIが得意な部分は、人間がアシストをしながらAIに任せ、人間にしか価値提供できない部分は、時にAIによるアシストを得ながら人間が形にする。ソーシャルメディアマーケティング市場は、そういったAI共存の考え方が浸透していくのが、最も早い市場なのではないかと感じています。

―オーガニック運用も広告投資の一つとしてみていくとは、どのようなことでしょうか。

後藤:いわゆるSNS広告は、広告のフォーマットが一般の投稿、すなわちオーガニック投稿の見た目と大きく変わらないネイティブなフォーマットであることがほとんどです。冒頭でお伝えしたように、SNS上では企業もいち「個人」として見られ得ることを考えると、広告の発信元がどんな人、どんなアカウントなのかという点も、生活者はきちんと見ていると考えるべきです。企業が自社のSNSアカウントをうまく活用するということはSNSマーケティングにおける「入口」を整えることと同義で、それに「出口」である広告施策も組み合わせ、初めて立体的なコミュニケーションプランニングをすることができるようになります。

「広告」×「3つの注力領域」で広告効果を最大限に引き出す

―CCIが注力している領域はどこでしょうか。

後藤:オーガニック領域、シグナル領域、ロングテール領域の3領域です。オーガニック領域とは、企業のSNSアカウントを軸に、オーガニック投稿やSNSキャンペーン企画の戦略立案などを担っている、いわゆるSNSコンサルと呼ばれるビジネス領域です。シグナルとは、端的に言うと効果計測に必要なデータ群のことで、コンバージョンAPI(以降、CAPI)やデータクリーンルームなどのクッキーに依存しないデータ取得方法の模索とそれに基づく広告効果の最大化を目指しています。ロングテール領域では、それこそCCIがメディアレップだった時代から大きく変化した現在の市場ニーズに合わせ、広告主・広告会社のROIを最大化するための課題解決ソリューションをご提供しています。オーガニックとシグナルは、CCIのケイパビリティをさらに高めるためのもの、ロングテールはターゲットの課題解決に特化したものと言えるかと思います。

―各注力領域におけるCCIのソリューションにはどのようなものがあるのでしょうか。

後藤:オーガニック領域には、SNSマーケティングの課題解決を提供するコンサルティングサービス「CCI Social AdTrim」があり、SNSマーケティングに長けた経験豊富な人材と、自社開発した独自分析ツールが強みです。

シグナル領域には、クッキーレスに対応したデータマーケティングサービス「DataDig」があり、主要プラットフォームの網羅的対応が強みです。MetaのCAPI Gateway for Multiple Accountsがリリースされた際には、国内のプレイヤーの中でもかなり早いタイミングで実際に導入を進め、サービス提供を開始しました。先駆的な対応が注目を集め、昨年の12月にはMetaさんのオフィスをお借りして、Meta×CCI共同の広告主向けセミナーを開催しました。

ロングテール領域には、代理店支援サービス「Agency Concierge」があります。今はメディアレップ経由のみならず、個人でも簡単にクレジットカードで広告を買い付けることができるような時代です。新規参入の障壁が低い領域において、ビジネスの幅を広げるための時代のニーズに沿ったサービスラインナップをそろえ、代理店向けだけではなくインハウスクライアント向けの支援も行っています。

―クライアントの課題解決の具体例があれば、教えてください。

後藤:語学ビジネスを展開しているクライアントへのCAPI導入の事例があります。もともと複数プラットフォームで広告配信をされていたクライアントで、シグナル欠損が話題になりはじめたタイミングでパフォーマンス(CV)が合わなくなってきたため、早い段階でCAPIの導入を実現しました。実際にCAPIの導入により、CPAおよびCPMが下がるなどのパフォーマンス改善の効果が得られ、費用対効果も改善が見られました。今後、CAPIは今以上にデジタルマーケティングにおいて必要不可欠なソリューションになってくると考えています。

―CCI特有の強みはどこにあるのでしょうか。

後藤:単なる広告配信にとどまらない、広告に3つの領域をかけあわせたサービス提供により、広告投資効果の最大化、広告価値の最大化を実現できることです。例えば、シグナルの領域では、CAPIを導入してきちんと広告効果計測ができていればプラットフォームの機械学習も促進されるためそれ以降の配信パフォーマンス向上にも繋がりますし、オーガニック領域と連携して、大型広告出稿後の世の中の反響を知るためにソーシャルリスニングの結果を踏まえてレポーティングをさせて頂くことなどもあります。

また、CARTA HOLDINGSのグループ会社であるCARTA MARKETING FIRMが提供する「&Social」やDIGITALIOが提供する「デジコ」と掛け合わせた提案が実現できることも強みの1つかもしれません。

新しいビジネスモデルの開発にも果敢に挑戦、市場成長を支えるインフラを目指す

―大変だったこと、CCIだからこそ成しえたことはありますか?

後藤:CCIはこれまでメディアレップ(広告枠の販売)で成長してきた会社ですが、メディアレップからの脱却に向けて、まずは広告とオーガニックの双方を語れるように、そしてクライアントに価値をお戻しできるようにしようとして立ち上げたサービスが「CCI Social AdTrim」です。これまでの「枠を仕入れて売る」というビジネスモデルに対して、オーガニック運用の部分は「仕入れが発生せずに無形物であるアイデア・分析・示唆に値付けして売る」というビジネスモデルで、初めてのチャレンジでした。
チャレンジを開始した時は、武器も何もない状態です。その中で、自社の独自分析ツールを開発しました。自社の分析ツールを活用することで、プラットフォームの純正機能だけではできないようなCCI独自の分析・インサイトの考察ができるようになりました。それを強みとしてコンサルティング能力を高めて案件が獲得できるまでになりました。

ツール開発時には、開発コストも踏まえた事業計画の策定なども当然必要になります。大変ではありましたが、今振り返れば、このような経験ができてとても良かったと考えています。こういった「事業を創っていく」という文化は元々VOYAGE GROUPが得意としてきた領域かと思うので、2019年にCARTAに経営統合したことで、良い刺激を受けた部分の1つだと個人的には感じています。

ー今後の展望を教えてください。

後藤:プラットフォームの価値を最大化させて健全な市場成長を支える、ある意味インフラになっていきたいと考えています。そのためには、これまでやったことのないことにも積極的に挑戦し、「こういうサービスがあったら良いのではないか」というアイデアをスピード感もって実現していきたいです。CARTAグループだからこそ、これまでの考え方に縛られない自由な戦い方ができると考えています。そして、それが最終的には市場の成長にも繋がっていくことになると信じています。

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