経営の進化
リーダーがつくる心理的安全性
社外監査役の視点から
このような状況の中で、心理的安全性が注目されています。仲間に対して高い要求と批判的な視点を保ちながら、健全な人間関係を維持するには、どうすればよいのでしょうか。
CARTA HOLDINGSでは、経営者自身が「議論をつくす姿」また時には「反対意見にさらされる姿」を全社にオープンにしています。心理的安全性の実現にはこのようなリーダーシップが最も重要である、と私たちは考えます。
そんなCARTA HOLDINGSの経営者の姿は、他の経営者からどのように見えるのでしょうか。
今回、監査役を務める野口の社内向けの投稿(*)にCARTA HOLDINGSのリーダーシップが紹介されていましたので、紹介いたします。
* 社内向けの投稿・・・CARTA HOLDINGSには、個人が全社に発信できるツールがあります。あらゆる立場の人が、毎日、思い思いの投稿をしています。中でも役員個人からの発信は、「CARTA BOARD MESSAGE」シリーズとして投稿されます。
野口 誉成
Yoshinari Noguchi
監査役(社外)
ピーシーデポコーポレーション監査役、rakumo監査役。
下記では2024年1月9日にCARTA HOLDINGS社内向けに投稿された内容を、ほぼそのままの形でお届けします(一部社内向けの情報は修正しています)。
CARTA BOARD MESSAGE 「当社の凄いところ」
野口 誉成 yoshinari_noguchi 2024-01-09 06:22
監査役の野口です。
まずは、能登半島地震および羽田空港事故によって被害および影響を受けられた方々に心よりお見舞い申し上げます。
そして、休暇中にもかかわらず緊急のご対応をされた方々に深く感謝の意を表します。
【はじめに:監査役とは】
本題に入る前に、「監査役とは何か?」について少しお話しさせて頂きます。
(既にご存知の方は読み飛ばしてください。)
私は監査役として、取締役会や経営会議に出席しておりますが、事業を推進したり、管理業務をしたり、意思決定に参加したりしているわけではありません。
では何故いるのかというと、経営陣の職務の執行を監査するために議論や意思決定の場に立ち会わせて頂き、株主の皆様に「この会社は大丈夫です(または大丈夫ではないです)」と報告するためです。株主の方々は「お金を出資しているのだから取締役会や経営会議に出席させてよ」と思うかもしれません。しかし、毎回の会議に多くの株主の方々が参加する訳にもいきませんので、「代わりに見ておいてよ」と頼まれているのが監査役です。
(監査役についてさらに詳しく知りたい方は、こちらをご参照ください。)
【本題:当社の凄いところ】
では、本題に入ります。上述のような立場から拝見していて、常々「当社は凄いな」と思っております。
そこで、当社の何が凄いと思っているのか、普段は無意識に感じていることを明示的に文章にしてみたいと思います。
議論を尽くすところ
ビジネス環境の変化が激しい中、経営陣は常に迅速で果敢な意思決定を迫られています。そのような状況下では、ともすると社長の鶴の一声に全経営陣がなびいてしまうということが起きがちです。
しかし、当社の経営陣は、どんなに期限が迫っていても、たとえ決まりかけたことに対しても、より良い意思決定のために疑問を呈したり異を唱えたりすることがあります。これはとても勇気がいることだと思います。
情報をオープンにするところ
経営会議での議論の内容を、事務局の方々を通して従業員に公開しています。
(これについては宇佐美さんが年末に書いているとおりです。こちら[編注:リンクを省略しています]をご参照ください。)
それだけでも凄いのに、時には決定事項だけでなく、議論途中のことについても公開したりしています。
これはなかなかできることでは無いと思います。
実は私も若い頃に他社で経営会議の事務局をしておりましたので、これが如何に難しいことか、実感を持って凄さが分かります。
包み隠さず話すところ
そしてオープンなのは従業員に対してだけではありません。
毎月実施している監査役会に、ゲストとして取締役・執行役員など1名にいらしていただき、その時々に感じている課題などをお話しする機会があります。そこで皆さんが会社の課題などを本当にざっくばらんに話してくださいます。
あまりにも包み隠さずお話しされるので、一緒に参加している他の監査役の方々が驚いている程です。
私は経営陣と接することが多いので、経営陣の話が多くなりましたが、経営陣だけでなく、従業員の方々についても凄いと思っております。
事業部門とバックオフィスが互いをリスペクトしているところ
バックオフィスが弱い会社は成長しません。どんなに優れたサービスを持っていても、どんなに経営陣に先見の明があっても、です。
当社には、事業部門の方々がバックオフィスをリスペクトする雰囲気があり、バックオフィスの方々が事業部門に寄り添おうとする姿勢があります。
それが上下関係や強弱関係の力学ではなく、ビジネスパートナーとしての立場の違いをお互いきちんと理解した上でそうなっているところが素晴らしいと思います。
倫理観が高いところ
当社ではルールを必要最小限にして、権限を大幅に委譲した運用を行なっています。これは、従業員の皆様の倫理観が高くないと実現できないことです。
日本の会社法および金商法の内部統制は、主に米国から輸入されたものです。米国では人種などの属性が異なる従業員をまとめるために、ルールを整備し、そのルールに従って運用する、という考え方を基本にしています。そのような環境ではその方が効率が良いからです。
私は初めに米国企業の典型的な内部統制を学び、20年近く慣れ親しんでおりましたので、ルールを必要最小限にする考え方には当初は居心地の悪さを感じていました。しかし、最適な内部統制は業種・規模・経営者の考え方によって異なるということを、当社を見てきて実感しました。例えば原子力発電所など手順通りに動くことが重要な環境であれば、細かいルールをたくさん作ることが馴染むのかもしれませんが、当社のように日々進化を求められる環境では、自分で考えて動く余地があるからこそ進化のための挑戦ができます。その余地を作ることができるのは、皆様の高い倫理観があるからだと思います。
【おわりに】
このような素晴らしい会社で、素晴らしい皆様と一緒に働けていることをとても嬉しく思っております。
今後とも宜しくお願い致します。
【おまけ:私との懇談のお誘い】
そうは言っても、課題が一つもない会社はありません。
当社の課題について話したい方、そんな大袈裟なことでなくても、日々の業務の悩みを聞いて欲しいという方、私と懇談してみませんか?
ご興味がある方は、私にDMしてください。お待ちしています!(編注:これはCARTA HOLDINGSで働く人に向けたメッセージです)