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カルチャーの進化

「D&Iプロジェクトを通じて、違いは強さになると実感」D&I推進の背景と変化

包容力は、経営において重要な力

CARTA HOLDINGS(以下、CARTA HD)はD&Iの一環として、2022年1月にプロジェクト「WAVE」を立ち上げました。CARTA HDのバリューである「違いを強さに」を実践するために、会長の宇佐美をはじめ、プロジェクトメンバー9名が集まり、CARTA HDのD&Iについて議論を重ねています。WAVEのアドバイザーを務める、社外取締役・石渡万希子氏とプロジェクトメンバー・梶原理加が考える、自分らしく働ける組織とは。D&Iに取り組むことになったきっかけやWAVEへの期待感も含めて聞きました。

石渡 万希子

Makiko Ishiwatari

株式会社CARTA HOLDINGS 社外取締役

外資系金融の日本支社や部門の立ち上げ、スタートアップ企業の立ち上げを経て、2014年より英国ラグジュアリーショッピングサイトFarfetchの日本法人立上げに参画、代表取締役に就任。2017年シンガポールでコンサル及びコーチングを行うIgnite Coaching & Consultingを設立。
2021年3月CARTA HD社外取締役就任。

梶原 理加

Rika Kajiwara

株式会社CARTA HOLDINGS
マネジメントオフィス本部
グループコミュニケーション推進室 室長

2003年サイバー・コミュニケーションズ入社。デジタル広告の企画・セールスを経て、データマネジメント事業立ち上げ、インターネット広告関連調査など幅広い業務に従事。現在はCARTA HDグループコミュニケーション推進室室長、広報を兼務。
CARTA D&Iプロジェクト「WAVE」プロジェクトメンバー。

――D&Iプロジェクト「WAVE」立ち上げの経緯を教えてください。

梶原理加(以下、梶原):WAVEは、社員が自分たち自身で経営にプロジェクト化を提案し、実現した取り組みです。昨年、ある後輩の社員から「CARTAは女性が活躍できない職場なのではないか?ロールモデルがいないので、将来のキャリア像が見えない」と率直な意見をもらいました。まず初めに考えたことは、「『ロールモデル』が指す意味は何だろうか?」ということです。人は一人ひとり違います。得意なことが違う人が集まったほうが組織として良い仕事ができるのではないかと思いますし、キャリアの描き方が違ってもいいのです。管理職だけではなく、スペシャリストを目指していく選択肢もあります。もちろんそれは女性だけではなく、男性であっても同様です。「ロールモデル」という言葉に囚われるのではなく、もっと自由に自律してキャリアを築いていく。そんな挑戦を自分たち自身でやっていこうと、仲間に声をかけて立ち上げたのが「WAVE」です。

――「WAVE」での具体的な活動は?

梶原:プロジェクトオーナーは会長の宇佐美で、プロジェクトメンバーとして私含めて9名が活動しています。全体定例会を週1ペースで実施していますが、それ以外に3チームに分かれて取り組みを進めています。まず、CARTA HDの現時点を知るための課題の整理、実データ、意識ベースのアンケートデータを揃えていきます。加えて、以前より事業部から声があがっていた「オンライン診療を活用した低用量ピル服薬の福利厚生制度」の導入を人事へ提案しました。このように、社内の声を拾い、経営や人事へ提案していくこと、D&Iの意識を社内に啓蒙していくことがWAVEの主な活動です。

――石渡さんは2021年3月にCARTA HD社外取締役に着任され、WAVEにはアドバイザーという形でジョインされました。本業や今までのキャリアについてお聞かせください。

石渡万希子(以下、石渡):2017年にコーチングやコンサルティングを行う「Ignite Coaching & Consulting」をシンガポールで立ち上げました。現在はシリコンバレーに業務を移し、組織のリーダーとの1on1コーチング、チームを対象としたグループコーチング・研修を通じ、個人が持つ本来の力を引き出し、リーダーシップを最大限に発揮できるよう人材育成のお手伝いをしています。
現在の仕事を始めるまでは、外資系金融での部門立ち上げやスタートアップ企業の設立など、自分が面白いと思える領域にチャレンジしながらキャリアを形成してきました。現在のビジネスを始めたきっかけは、2014年に英国のラグジュアリーショッピングサイト「Farfetch」の日本法人の代表取締役に就任したこと。社長という肩書がついた瞬間、世界が一変しました。正直、周囲から急に「女性社長」として見られることに違和感を感じ、リーダーとしてどう在るべきか、自分らしくリーダーシップをとるにはどうしたらいいか、随分悩まされました。そんなとき、本社がコーチングやリーダーシップ研修を受ける機会を与えてくれました。コーチングはまるで自分探しの旅。その面白さに引き込まれ、Farfetchの社長退職後は、コーチングアプリをつくろうと考えコーチングの勉強をする過程で、「これは私のライフワークになる」と感じ、コーチとして独立することを決めました。

――WAVEの第一フェーズのテーマである女性のキャリア推進については、どう考えていますか?

石渡:女性のキャリア推進については、私も常々考えていることです。マネジメントや経営において、ロジカルシンキングや決断力は必要ですが、女性性の特徴でもある共感力や包容力、受容力もとても重要です。Google社などでも、近年目指すべきは共感力の高いリーダー(Empathetic Leader)であるといった研究結果が出されています。女性は、人を主軸にしたコミュニケーションが上手で、人材育成やチームづくりにも長けている方が多いと思います。ですから、女性社員が自分らしいエネルギーを発揮できれば、組織はより良い方向に変わると思います。私も女性リーダーのコーチングをしている中で、彼女たちが花開いていくのを目の当たりにしてきましたが、周囲へのインパクトも大きく、とてもやりがいがあります。
私がトレーナーの資格を持つ、16タイプに分類されるMBTIという性格診断では、組織が効果的に意思決定していくためには、データの収集方法がトップダウンとボトムアップの両軸があること、決定方法がロジック重視と人重視の両軸があることが必要といわれています。でも日本人男性の割合が圧倒的である日本企業では、タイプが偏り、アンバランスになる場合も少なくない。人重視の気質を持つ女性をマネジメントチームに増やすことで、バランスが良くなり、経営判断にもいい影響をもたらすはずです。

梶原:意思決定をするとき、同じ価値観を持つ者同士が集まっている方がスピーディではありますが、やはりそれだけでは新しい視点やアイデアは生まれないですよね。

石渡:女性性や男性性の違いに限らず、価値観の違いを埋めるためには深いコミュニケーションを図る必要が出てきますし、正直大変なこともあります。でもCARTA HDが掲げるバリューでもある「違いを強さに」は、WAVEの推進でも意識したいこと。先日座談会の時に、ある女性リーダーの方が「〇〇さん、ママなのに(仕事が出来て)すごい」と言われることに違和感がある、と話してくれました。そのことを聞いてハッとしたのですが、「違いを強さに」するならば、「ママだからすごい」はずですよね。私たちは、つい「ママだから、無理できない」などの前提で見てしまいがちですが、「違いを強さに」していくなら、母であることの忍耐力や底力、そっちに目を向けたいですよね。そうして、一緒に働く人との違いも強さに変換して、組織力を高めていきたいです。

座談会の様子

――WAVEに携わったことで新たに気付いたことはありますか?

梶原:石渡さんがおっしゃったように個の違いをプラスに捉えられるようになりました。WAVEを社内に発表した際に様々な意見が出てきました。D&Iという言葉が先行し、とても広いテーマで抽象度も高いので、捉え方も人それぞれ。これを伝えることがまさに最初の多様性の壁となりました。自分の考えとは異なる人とのコミュニケーションって、伝わっていないもどかしさを感じることや、時には傷つくこともあるんです。真っ向から違う意見を言われたら落ち込みますよね。でもその分、新しい発見もたくさんあります。自分の頭の中になかった発想のヒントをもらえるし、違う考えを持つ相手の意見を受け入れたら、自分一人で考えたものよりもいいサービスや取り組みに昇華できる場合もある。こうやって意見を言い合えることが、CARTA HDの進化の一歩になると信じています。
CARTA HDは、サイバー・コミュニケーションズとVOYAGE GROUPという20年以上の歴史を持った異なる2社が統合してできた会社です。両社が完全統合して業務を進める中で、どうしてもスタイルやカルチャーの違いは意識せざるを得ませんでした。違いをなくす、一体化するのではなく、違っていいんだ、違いを認め合っていけばいいんだって思えたんです。まずは認め合うことで、次のステージである「違いを強さに」していけるのではないかと思っています。

石渡:違う意見を持つ人との接点は、自分の考え方や人間性を豊かにしてくれますよね。

梶原:長年同じ企業にいると自己成長が停滞していると感じる方は多いかもしれませんが、私もここ数年はそのような状態でした。会社の方針も周囲の人の人となりも理解できている一方で、新しい気付きや変化が少ない。だからサイバー・コミュニケーションズがCARTA HDとなり、環境が変わったことは、停滞を打ち破るきっかけになりました。新しいコミュニケーションの形を考える場が増え、自分が成長している実感がありますね。

――石渡さんは、渋谷オフィスと東銀座オフィスのそれぞれで開かれた、女性のキャリアに関する座談会に参加されたのですよね。

石渡:はい。座談会で印象的だったのは、男性社員の方でもD&Iに対してとても積極的な方が複数名いらしたことです。自分の所属する組織にD&Iを浸透させる方法だけでなく、他の事業部にシェアをして根付かせる意識にまで発展していました。WAVEのようなプロジェクトは、誰が伝えるかによってメッセージのトーンも変わります。最近米国では、自分は属していない社会的弱者(マイノリティ)を理解し、支援する「アライシップ(Allyship)」が注目されています。「アライ」は、マイノリティ本人の口からだと言いづらいこと、批判される恐れがあることに気付き、周囲の理解も促すサポートをしてくれる存在です。女性キャリアにおいて、男性のアライがいることはかなり力になります。女性の意識だけでは変えられない仕組みがまだ残る中で、男性の意識改革を促す必要もあります。男性も「特別扱いをされたら嫌かな」「どこまで首を突っ込んでいいかな」と葛藤してしまい、女性のキャリア推進に対して大きなアクションをとりづらいのも事実。先ほど話した男性社員のような方が増えていくと、女性も働きやすくなるのではないでしょうか。男性の在り方も、上手くシェアしていけるといいですね。

梶原:どれだけCARTA HD全体で変わろうとしても、事業部単位で変わろうとしなければ、広がっていかないですからね。

石渡:D&Iプロジェクトをシェアする上で、多様性のある働き方や色々なタイプのロールモデルを紹介していくことも大切ですね。一つの成功事例ではなく、さまざまなストーリーや働き方を示すことが、今仕事や職場環境に悩む人の助けになるかもしれない。「私のキャリアでは無理」とか「女性で実践している人はいないし」と、自分で決めてしまっている天井を外せるサポートをできればいいなと思います。

梶原:私自身、育休からの復職後はイメージ通りに仕事を進められない葛藤も経験しました。広報という職種柄、キラキラした話をしがちですが、もっとリアルさを追求して伝えることが、誰かの役に立つかもしれませんね。

――これからのWAVEやCARTA HDのD&Iの取り組みについて期待することは何ですか?

石渡:期待でいっぱいです。VOYAGE GROUPとCCIが統合して間もない今のCARTA HDは、両社が築いてきたカルチャーの違いが存在する状態。二つのグループのどういう「違いを強さに」していけるのかオープンに議論していくのも第一の課題でしょうし、多様性に満ちている環境で、D&Iを推進する上でも大きなチャンスでもあります。この機会に、多くの女性の持つ受容力や包容力を活かせれば、失敗を恐れずより多くのチャレンジができる組織になるはず。男性も含め、お互い弱さを受容し合うことが、チームの結束を高め、人を動かすきっかけになったり、失敗から学び未来に向けてイノベーションを起こす原動力になったりするのだと思います。

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