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EVOLUTiON

経営の進化

人がもつ未開の可能性を拓きたい

組織を人が輝く舞台へ進化させる人事部門長の挑戦

「人の可能性を拓いていく存在でありたい」と語るのは、CARTAグループの進化に挑むHR本部長、小椋祐二です。彼が考える進化を生み出す人とは、「変化に適応するだけではなく、自ら進化の起点となるうねりを起こし、周囲を巻き込みながら新しい価値を生み出せる人」のこと。その言葉通り、小椋は28年間のキャリアで、ハイリスクなサービス開発のプロジェクトを実現に導き、ときには窮地に陥った営業部門に飛び込みV字回復させ、さらに社史に残る収益をも実現しました。そんな彼が「新たな挑戦に心が踊る」と熱中しているのが、3年前から取り組む人事部門であるHR本部での挑戦です。仲間を信じて可能性を引き出すことで危機を機会に、停滞を成長に変えてきた小椋の人生に通底する信念は、「愛と尊敬」でした。

小椋 祐二

Yuji Ogura

株式会社CARTA HOLDINGS
執行役員HR本部長

1995年三菱電機株式会社入社。2000年株式会社サイバー・コミュニケーションズ(現CARTA COMMUNICATIONS、略称CCI)入社、電通への出向などを経て帰任後にプロジェクトマネージャーとして電通と共同でプランニング&ワークフローシステムを開発。2009年から執行役員マーケティングソリューション本部長、その後、営業本部長やメディア本部長、2014年からは取締役CROとして売上1000億円、営利25億円に事業成長を牽引。2019年のCCIとVOYAGE GROUPの経営統合を経て、2022年より株式会社CARTA HOLDINGSの執行役員HR本部長に就任。

新たな挑戦、営業から人事へ

これまでのご経歴を教えてください。

私は1971年に静岡県浜松市で生まれ、大学卒業後に総合電機メーカーで防衛機器の営業を担当しました。その後イベント会社を経て、2000年に株式会社サイバー・コミュニケーションズ(現CARTA COMMUNICATIONS、略称CCI)に入社しました。CCIでは、営業、メディア、マーケティングソリューションなどの事業部門を経験し、2014年に取締役CRO(Chief Revenue Officer)に就任しました。2019年のVOYAGE GROUPとCCIの経営統合を経て、2022年からCARTA HOLDINGSの執行役員HR本部長としての役割を担っています。

営業時代には、電通と共同で行ったシステム開発プロジェクトのCCI側のプロジェクトマネージャーを務め、デジタル広告のプランニング&ワークフローシステムを2年かけて開発しました。これにより、それまでレスポンス指標で効果をみるしかなかったネット広告でも、リーチ指標で効果を予測し検証するようになりました。さらに、2018年にTikTokが日本市場に参入する時、広告パートナーとして特定の分野での独占的な提携契約を結び、同メディアの成長を牽引しました。取締役CROの時には、収益部門の責任者として仲間と一緒に売上1000億円、営業利益25億円への事業成長に取り組んできました。

現在は、執行役員HR本部長として、約1500人のグループ各社の採用、人材開発、HRBP、労務サービス等の運営を推進しています。

事業領域の責任者から、人事領域の責任者への転換は大きな変化だと思います。就任の経緯を教えてください。

事業子会社CCIの執行役員として事業開発に従事していた2021年9月、当時の社長から、「HOLDINGSでHRを担当してくれないか」と打診を受けたのがきっかけです。ちょうどVOYAGE GROUPとCCIの経営統合から3年が経過し、2022年から両社の管理部門を一つに統合するタイミングでした。HRのマネージャーが退職したこともあり、その役を引き継いでほしいと言われたのです。

営業・事業部門への未練はなかったのですか?

まったく未練がなかったとは言えません。キャリアにおける大きな方向転換で、正直迷いもありました。

でも私はもともと新しいチャレンジが好きで、CCIに入社してから10以上の部署を経験してきました。その中でいくつもの修羅場経験もさせてもらいました。それは仲間の可能性を見出し、最大限引き出す機会を与え、彼らの覚醒とともに事業や組織が進化していくという体験でもありました。

全社に関わるHR本部という立場なら、これまで以上に広く社内の仲間の可能性を拓くことができるのではないか。各事業で先人が築き上げてきたものに、可能性を拓いた仲間が新たな価値を加え、進化へ導いていく、その後押しができるのではないか。このようにポジティブに考え出すともはや迷いはなくなり、むしろ早くトライしたいという気持ちになっていました。

現在の担当領域の課題とその解決策は何ですか?

課題の一つは人材の育成です。CARTAの経営課題として、グループ全体の人的資本を最大化することに注力しています。それを推進するHR本部には、実現すべき大きなチャレンジがいくつもあります。たとえばCARTAがテクノロジーオリエンテッド(※)を強みとしているように、HRも各人の幾何級数的な成長のために、それを全社で再現性を持って実現させていくためにテクノロジーやデータをもっと存分に活用したい。Human-centered Technology & Dataですね。皆が挑戦を通して成長し、一人でも多くの社員により大きくより永く輝いてほしい。

実現するにはHR本部のなかに「自ら進化のうねりを起こして、周囲を巻き込んでそのうねりを動かせる人」が何人も必要です。いまも頼もしい仲間がいますが、これに対しては採用と育成で戦力の充実を図りたいと思っています。

※ テクノロジーオリエンテッド:組織やプロセス、製品開発、戦略などのあらゆる側面で、テクノロジーを中心に据えていることを示す言葉

転機となった組織再建の経験

これまでのキャリアの中で、特に印象に残っている出来事は何ですか?

CCIで営業組織の再建に取り組んだ経験です。
2011年ごろのCCIは、親会社の電通に100名規模の営業人材を出向させてデジタルビジネス拡大のために協業をしていましたが、 電通で学んだ知見やノウハウが高く評価され、 その出向している優秀な人材が離職していく問題が起こっていました。私は当時マーケティングソリューション本部長としてソリューション開発・販売に携わっていましたが、CCI社長から選任され、この問題をかかえる営業部門の責任者となりました。

まず、出向している様々なメンバーと対話を続ける中で、「CCIの組織がその機能を果たす上でやや脆弱な部分があった」「出向の意義やその先のビジョンが明確に描けていなかった」という実態が明らかになりました。そのため、メンバーとも議論を重ねながら、組織のミッションやビジョンを明確にし、組織構造やマネジメントを再構築しました。また、同時に成果を出すことで社内外のプレゼンスを高め、誇りを持てる組織にするために、私も出向先に席を置き、やるべきことは全員で徹底的にやり抜きました。こうした努力が実を結び、着任してから約2年間、全8四半期で予算も達成するなど、組織の立て直しと協業の拡大を実現することができました。想いを共有した優秀な仲間たちと濃密な時間を送り、皆で日々の営業に尽力できたことは、とても感慨深い思い出です。

2011年の予算達成祝いの様子。私は神輿に担がれて登場(笑)、鏡割りや綱引きなどをメンバーが企画してくれました。大きな会場を借り、盛大に目標達成を祝いました。

この困難な時期に上を向いてリーダーシップなど新しい才能を発揮してくれた人々が、結果として今の会社の中核メンバーになっています。
この経験を通じて、2つのことを学びました。1つめは組織で働く個々人にしっかり目を向け耳を傾けて、人と組織の本質的な価値や課題を理解すること。
2つめは、人はそれぞれが可視化されていない想いや特性、能力価値があり、それを引き出して活かすことで一気に人も組織も飛躍するということです。ダイヤの原石のようなすばらしい人材が、今も社内外で待っています。
こうした経験で得たものを全社において再現していく、「愛と尊敬」をもとに、人と組織が新しい価値を創造し、それを次世代へと還元していくスパイラルを作ることが私の使命であると感じています。この考えは現在の私のHR戦略にも反映されており、未来を見据えた人材育成に生かされています。

メンバー一人ひとりと向き合う日々

人の可能性を拓く舞台であるために

現在の仕事に対して熱くなれる理由は何ですか?

やはり「人」が原動力です。常に「人に恵まれている」と感じています。一緒に会社の経営を担うCARTAのBOARDメンバー、HR本部のメンバー、社員、取引先の方々、家族まで、全てです。いつも学びをいただいているという感謝の念といえばよいでしょうか。

私がいつも心に抱いている「愛と尊敬」と繋がるものです。

愛と尊敬で集まった仲間と、過去の先人が作ってきた優れたものに新しい何かを加えて、そのことによって新しい価値を生み出し、人と未来にお返しする。
これが「愛と尊敬」による人類の歴史であり、私の人生観です。仕事だけではなく、社会全体を常にこのように見ています。

これって、CARTAの「進化推進」の企業理念そのものだと思うんですよ。こんなところも、この会社での今の仕事に熱くなれる理由かもしれません。
ちなみに「愛と尊敬」という言葉は、高校同級生の優れたクリエイティブディレクターからインスパイアされて以来、私の精神の道標として使わせてもらっています。

HRの仕事である人の採用や育成にあてはめていうと「当社と通じる想いを持ち大きな可能性を秘めた人材を見つけて、一人ひとりに成長機会を提供しながらCARTAとして顧客や社会に進化をもたらし、人と未来のために紡いでいくこと」になると思います。人生をかけて本気でのめりこめる仕事を今、やっています。

最後に、 小椋さんがここから生み出したい「進化」とは何ですか?

私がここから生み出したい進化は、CARTAを「人の可能性を拓く」舞台に進化させることです。それはメンバー一人ひとりが持つ未開の可能性を引き出して活かすことで、社会や産業の進化を加速する。そのための土台を作るということです。人は自分でも気づかない特性や能力価値を持っています。その個々の可能性をテクノロジーやデータの力も借りて可視化し、適切なフィードバックや挑戦の機会を提供することで、持続的な成長を通じた自己実現を後押ししたいと考えています。