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事業の進化

「リテール業界全体を前進させるプロダクトを作りたい」プロダクトマネージャーの視点で読み解く、リテールプロダクト開発のおもしろさ

生活をより豊かに、より快適に。デジタルの力でリテール店舗に変革をもたらす

CARTA HOLDINGS(以下、CARTA HD)には、ユーザーニーズに沿ったプロダクト開発に取り組むグループ会社が数多くあります。株式会社DIGITALIOもその一つです。リテールDX事業本部では流通・小売業に特化し、デジタルの力で企業とエンドユーザーの接点づくりをサポートしています。そこで大きな役割を担っているのがプロダクトマネージャー(以下、PdM)とプロダクトマーケティングマネージャー(以下、PMM)の存在です。今回はPdMを務める遠山晋作、PMMを務める廣川豪太にインタビュー。プロダクト開発の裏側や開発工程での苦労、やりがいを聞きました。

遠山 晋作

Shinsaku Toyama

株式会社DIGITALIO
リテールDX事業本部 デジクル事業部

2021年株式会社DIGITALIO リテールDX事業本部に業務委託でジョインした後、2022年正社員として入社。流通・小売業向けプロダクト開発のプロダクトマネージャー(PdM)を務める。

廣川 豪太

Gota Hirokawa

株式会社DIGITALIO
リテールDX事業本部 デジクル事業部

2018年VOYAGE GROUP(現CARTA HD)新卒入社。株式会社fluctにてアプリグロース本部長を務めた後、一度の転職を経て2022年CARTA HDに再入社。
現在は株式会社DIGITALIO リテールDX事業本部にて、プロダクトマーケティングマネージャー(以下、PMM)を務める。

ーまず、それぞれ経歴と現在の仕事内容を教えてください

遠山晋作(以下、遠山):新卒時、旅行会社でエンドユーザー向けサイトのUXデザイナーとして勤めた後、サービスデザインのスキルを活かした二度の起業を経て、フリーで活動をしていました。2021年、リテールDX事業本部を統括する今井から声をかけてもらい、業務委託としてリテールDX事業本部に入り、半年後に正社員となりました。これまでに培ったプロダクトマネジメントスキルを活かし、現在はPdMとして働いています。
リテールDX事業本部ではさまざまなプロダクトを保有しており、廣川と一緒に方針の策定やワークフローの組み立て、目標設定などを行っています。

廣川豪太(以下、廣川):2018年に新卒で入社し、メディアの収益最大化を支援するfluctに、セールスとして配属されました。その後、アプリメディア広告のグロースを図るプロダクト開発の責任者やセールスのマネジメントを手がけました。
一度転職を経てCARTA HDに再入社し、現在はリテールDX事業本部のセールスやカスタマーサクセスが自社プロダクトを売るための施策を考えたり、遠山と連携しながら新しいプロダクトづくりに臨んでいます。

汎用性のあるプロダクトで、幅広くリテール企業の課題を解決

ーリテールDX事業本部ではどんな体制でプロダクト開発しているのですか。

遠山:PMMが2人、PdMが3人在籍しています。これまでリテールDX事業本部では、各企業ごとの要望に寄り添ったプロダクト開発を行ってきました。その中で、流通・小売業におけるニーズが顕在化してきたため、より多くのお客様の課題解決に向けて、汎用性のあるプロダクトを作っていくこととなりました。まさに今、転換期として体制を再構築している最中で、今後はプロダクトを主体とした開発体制を敷いていく予定です。そうなると、エンドユーザー・消費者、店舗従業員、企業の企画開発部門など、さまざまなステークホルダーの立場を想定しながらニーズをくみ取り、プロダクトの定義を決めていくことが、PdMの役割になると考えています。

廣川:遠山が話した通り、プロダクトを起点に事業開発するとなると、複数の企業が汎用的に使う想定が必要です。その工程で課題となるのが、顧客すべてのニーズに応えられる機能を付けたいビジネス側と、実装する開発側の折り合いを付けなければならないこと。すべての意見を機能に取り入れると、でこぼこなサービスになってしまいますし、開発側の工数もかかってしまいます。そこで、プロダクトの輪郭を描いていくPMMのポジションが必要となり、私が担うことになりました。ビジネスサイドから出た要望をきれいな形に整えて遠山と連携し、開発チームに渡してもらうという流れで開発に取り組んでいます。

ー「デジクル商品予約」は二人が共に手がけたプロダクトとのことですが、サービス概要や開発の背景を教えてください。

廣川:2022年の春頃から、個社に特化したプロダクトではなく幅広い企業が活用できるプロダクトを作りたいという構想は出ていました。そんな折、ビジネスサイドからあがってきたスーパーマーケット様の課題を聞くと、季節商品の予約に関する悩みがとても多かったんです。正月のおせちや節分の恵方巻、丑の日のうなぎなど、季節限定の商品は事前予約が必要となります。しかし私たちが想像する以上に予約カウンターでの作業負担が大きく、業務工数がかかっていることが分かりました。浮き彫りになった複数の企業が持つ課題に対して、ソリューションを提供できるプロダクトを作れば、サービスとしても成立する。そう考えて動き出したのが6月頃です。

遠山:廣川と私、開発パートナー数人のチームでスタートしました。やはりコンセプトとして「さまざまな企業に使ってほしい」という想いもあったので、汎用性のあるプロダクトにするにはどうすればいいか、初期段階からかなり悩みました。要件をまとめて8月から開発を始めましたが、11月にはリリースすると最初から決めていたため、3カ月でどこまでできるか考えながら開発工数やリソース調整をして進めました。

様々なステークホルダーの立場を想定し、多角的な視点でプロダクトを定義することの重要性

ープロジェクトの中で、大変だったことは何ですか?

廣川:リリース時のプロダクトの品質をどこに置くか定義付けする作業は、難しかったです。ゼロイチでプロダクトを開発するに当たり、アイデア出しや議論を活発に行いワイヤーフレームが見えてくると、「こういう機能も必要」「この機能は不要」など至るところから次々と新たな意見が飛んできます。しかし世に出す時期が決まっている以上すべて取り入れることはできず、どこかで線引きをしなければなりません。その線引きや取捨選択をする判断は、とても大変でーーその辺は、結構遠山が決めてくれました。

遠山:確かに難しい判断も多かったです。「必須機能にしてほしい」と強い要望はあるものの求めている企業数は少なかったり、その逆もあったり。最終的には廣川と開発側とコミュニケーションを図りながら決断することができました。ただ難しい一方で、これがリテールDX事業本部のプロダクト開発のおもしろさだとも思います。

ーそうなんですね。具体的には、どの辺におもしろさを感じていますか?

遠山:先ほどもお話したように流通・小売業向けのプロダクトは、企業やエンドユーザーなどステークホルダーが多いんです。私はCARTA HDに入るまで消費者にダイレクトに提供するサービスに携わっており、ユーザー第一の視点で取り組んでいましが、今は開発工程の要所で、誰か一人だけの視点になっていないか、使用するすべての人にとって最適化されているか考えながらプロダクト開発を進めており、自然と色々な視点を持てるようになりました。toBとtoC、両方の側面に関わることのできるプロダクトづくりは、複雑で難しいのと同時に多角的な視点で考えるおもしろさがありますね。リテール業界向けのプロダクト開発では、そうした考えのもと意思決定することが大事だと日々感じています。

ー新たな気付きがあったのですね。廣川さんが「デジクル商品予約」の開発を通して得たものはありますか?

廣川:リテールDX事業本部としての課題の一つを打ち破る成功体験になりました。流通・小売業はマーケットが大きく、リテールDXについてはDIGITALIOとしても注力領域として取り組んでおり、商談の機会は増えていましたが、具体的なお取組までの進展が難しかったのが課題でした。個社ごとに個別要望をくみ取った開発を行う場合、どうしても開発コストが高くなり、導入ハードルが高くなってしまうんです。
しかし、複数企業に提供可能なプロダクトを作ることで、初期費用を安価に抑えた月額制のサービスを提供できるようになりました。
実際「デジクル商品予約」をリリース以降お取組企業数が増え、DX化への敷居を下げられたと感じます。
現在は新たな要望や実際に使ってみての改善点があがってきているので、開発難易度や工数と調整を取りながら、プロダクトの改良に努めているところです。

ーリテール向けプロダクト開発のやりがいは、どこに感じていますか?

廣川:リテール企業は、お客様に良いサービスを提供できるよう、マーチャンダイジングや店舗作りの面から日々努力されています。スマホでの情報獲得が日常化した今、「デジタル化を通してお得感のある店頭体験をしてほしい」と考える反面、取り組みとしてはなかなか進んでいないのが現状です。そのため地域密着型のスーパーマーケットなどは、お客様が大手スーパーマーケットへ流出する懸念を抱いていることも少なくありません。やはりずっと愛されるお店であり続けるには、今後デジタル施策は必要不可欠だと思うので、そこに携われるやりがいは感じますね。

遠山:生活に密着したプロダクト開発は、ダイレクトにエンドユーザーに届けることができるため、皆さんの日常生活の質を向上させられている実感はあります。その中で「デジクル商品予約」の開発を手がけて感じたのは、広くお客様のニーズに答えるための汎用性は重要ですが、各企業ごとのオリジナリティが表現できるような余地を残しておくこともまた大事だということ。
特に小売店は地域に根付いたビジネスを行っており、その特色をカスタマイズできるプロダクトであることが、長く使っていただくことに繋がると思います。
リテール企業の課題ってそんな簡単なものでもなく、各社の要望にフィットした機能をカスタマイズできるプロダクトでなければならない。技術面の実現性を加味しながら、かゆいところに手が届くようなプロダクトを作りたいですね。

ーエンジニアやセールスなど、他の職種との関わりがある点もプロダクト開発の特長ですが、社内連携はどのように図っていますか?

遠山:「デジクル商品予約」は開発期間が3カ月ほどと特殊な環境だったのですが、認識合わせに関しては密にコミュニケーションを取るよう意識していました。優先順位をつけて、この時までにこれをする必要があるという要件を明確に伝えることが大事だと思います。反面、短期間で開発をしなければならなかったため、口頭ベースでの連携が多かったことは課題でもあります。開発側の意図を事業側に深く理解してもらうためにも、口頭ではなくドキュメントベースなど、コミュニケーションの方法は改善の余地があります。社内での認識を統一することが重要だからこそ、最適な手段を取って連携を図る必要があると感じました。

廣川:遠山が言うように、認識合わせや共有はとても大事ですね。開発を進めていると、遠山と私しかプロダクトの形をイメージできていないという場面もありました。でもお客様にご案内する立場としてセールスは、サービスの意図や実現できることを明確に説明できなければならない。開発段階からPdMやPMMの頭にある構想をアウトプットして、メンバー同士で綿密に連携を取れる体制を構築していきたいです。

デジタルの力で日々の生活をより便利で豊かなものに

ー最後に、今後の目標を教えてください。

廣川:会社の在り方や目指す姿を考えるとき、いつも楽しい会社でありたいと思っています。プロダクト開発に取り組んでいると、議論が白熱することも珍しくありませんが、よい空気感の中で取り組むために、楽しい組織を追求する大切さを周りにも伝えて巻き込んでいきたいです。
また、さまざまなグループ会社があるCARTA HDの中で、自分たちの組織の特色を示していき、グループ間での横軸での繋がりも強くしていきたいですね。

遠山:廣川の言う通り、個人でもビジネスをしてきた私が正社員になろうと思ったきっかけの一つは、リテールDX事業本部というチームの楽しさがあります。良い人に囲まれながらプロダクト開発に臨める環境はとてもありがたいと感じています。PdMとしては、自分が関わったプロダクトによって顧客企業、ひいては業界全体に変化をもたらしたいです。生活者が日常的にデジタルを駆使する社会環境の中で、リテール業界においてはデジタルの力で生活者により良い体験を提供できる部分がまだまだたくさんあると思っています。
流通小売業の皆様が私たちのプロダクトを使っていただくことで、より良いサービスの提供を実現し、日々の生活をより便利で豊かなものにしていきたいです。業界全体を前進させられるようなプロダクトを生み出すことが、今後の目標です。