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自己否定して、ゼロから新しい形を一緒に創る。20周年を迎えたVOYAGEが考える未来への挑戦。

インターネット広告の分野で先頭に立って戦えるだけのポテンシャルを顕在化させていきたい

2019年10月8日に20周年を迎えた株式会社VOYAGE GROUP(以降「VOYAGE」)。インターネットの黎明期、前身となる株式会社アクシブドットコムの創業直後にジョインし、CEOである宇佐美さんと共にここまで歩んできたCFOの永岡さんに、この20年を振り返っての想いや、VOYAGEや株式会社CARTA HOLDINGS(※株式会社サイバー・コミュニケーションズ(以降「CCI」)と経営統合し、設立した持株会社。以降「CARTA」)の実情、そして未来についてお聞きしました。

永岡 英則

Hidenori Nagaoka

取締役CFO

大学卒業後、株式会社コーポレイトディレクションに入社。その後、大学時代からの友人であった宇佐美氏より誘われ、2000年5月に株式会社アクシブドットコム(現当社)に入社。事業計画の策定や資金調達に取り組み、同年取締役CFOに就任。2019年より持株会社CARTA HOLDINGSのCFOも務める。

ーー創業から20年が経ちましたが、印象に強く残っている時期はありますか。

永岡:さまざまな変遷があっての今なので、印象的な出来事は数多くありますが、まずは創業期です。インターネットの黎明期に小さなマンションの一室で、創業メンバーと「世界を変えたい」という情熱と「本当にビジネスとして成り立つのだろうか」という一抹の不安を共有していた頃のことは、会社が転換期を迎えるたびによく思い出します。

もう一つは、株式会社サイバーエージェント(以下CA)の連結子会社だった期間ですね。連結子会社という立場で、多くの事業にチャレンジして成功させることにフォーカスできた約10年間は、当社が飛躍的に成長を遂げた時期であり、独特な時代だったと思います。CFOという立場にある私にとっては、その後、2012年5月にCAの傘下からMBOで独立したことも非常に大きなイベントでした。きっかけは当社の柱の1つだったインターネット検索事業の縮小だったので、一時的とはいえ業績悪化が確実視されるなか、実に2か月という短期間で意思決定しなければならないというプロジェクトだったんです。怒涛の2か月でしたが、幸い良い結果を得ることができました。これによって当社の事業構造の転換が進み、一つの企業として上場へとステップアップしていく足がかりになったことを思うと、より感慨深いものがありますね。

ーーその怒涛の2か月では、具体的にはどのような動きがあったのでしょうか。

永岡:そうですね、この2か月というのはCAからMBOしていく上での、ディール設計を求められた期間なんですが、時価総額も決まっているという条件の中で、本来2か月で行うというのはかなり無理な期間設定なんですね。やはりベンチャーキャピタルやPEファンドでは実現が難しく、色々考えていく中で、唯一ポラリス・キャピタル・グループであれば実現可能性があるということで、すぐに議論を進めていきました。その後、通常であれば半年近くをかけて行うデューデリジェンスを2か月の突貫で行いまして(笑)。会計事務所や弁護士事務所などから大勢の方が連日来られて、うちのファイナンスチームも全速力で資料を作成し、事業計画の説明をしたりディスカッションしたりを繰り返していくという日々でした。

同時に事業としても、当時仕込みを行っていたSSP(※1)の領域へシフトチェンジするという大きな決断をし、業績を伸ばしていくことができました。これにより我々としては事業の伸びと合わせて、人も成長しましたし、組織としてもより自信を持てるようになり、結果的に非常に良い機会だったと今になっては思います。

ーーなるほど、確かに印象深い期間ですね。そういった20年をともに乗り越えてきた代表の宇佐美さんには、どんな思いをお持ちですか。

永岡:知り合ったのが大学時代で、もう付き合いが長いですからね。阿吽の呼吸で、彼は彼、私は私の役割を全うしてきたという感じです。彼はとてもエネルギー量が多くて、インターネットへの興味関心も、アンテナも高い。

改まってこういう話をすることはあまりないので気恥ずかしいですが、情熱的である一方、周りの人をとても大切にするやさしい人でもあります。創業社長というとちょっと傍若無人で、アクの強い人が多いですが、彼はとてもマイルドな方だと思います。仕事に対する熱意と質の高さ、人間性は昔から変わっていませんね。チャンスがあったらどんどんやってみて、可能性がないと判断したらいさぎよく退くというチャレンジングな姿勢とそのチャレンジの質の高さも、彼の特徴であり強みでしょう。私とはベースとして共通する部分がありながら、全くタイプが違うので、長く相互補完的な良い関係を築けているのではないでしょうか。それぞれがそれぞれの土俵でしっかり頑張っているけれども、一つの価値観に基づいて一体的にめざすゴールに向かっているという在り方こそが最善の形であり、これからも持続していくべきスタイルだと思っています。

CCIとの経営統合で、新たな主戦場に向かう準備が整った

ーーCCIと経営統合の発表から、この1年の変化についてお聞かせください。

永岡:創業20周年を迎えた2019年10月には、CCIと経営統合しCARTAとなってから1年が経ちました。経営統合は、5年・10年先の未来を見据えて、1社だけでは成しえない飛躍的な成長を遂げるための手段として選択した決断です。業務提携によって、CCIのみならず電通とも業務提携関係を強化することができ、これから劇的に変わるであろうインターネット広告事業というマーケットで企業価値を最大化していくための地盤が整いました。ただ、まったく異なる文化と世界観を持つ2つの会社が一緒になるというのは、簡単なことではありません。「きっと大変だろうな」と想像しながら踏み込んできましたが、実際にやってみて「やっぱり大変だな」と感じる日々ですね。

ーーCARTAとして、どのように課題を解決していこうと思っておられますか。

永岡:現状、事業面でのシナジーは生まれてきていますが、まだやはりVOYAGEはVOYAGEで、CCIはCCIでというメンタリティ(発想や世界観)であるところは課題であると考えます。完全に一緒になることはどこまでいってもないですし、1つのルールでまとめ上げることが重要なわけでもないのですが、濃淡はあれど、色々なものがマージされ、1つの仕組み、発想、考え方でまとまった組織にはなっていきたい。その為にも2年目はよりグッと踏み込んで進めていきます。

どのように進めていくのかですが、見ていた世界も、過ごしてきた環境も違う2社が1つになるにあたって、大切なのは「どちらかがどちらかを一方的に飲み込む」という形にならないことだと思っています。それぞれ、今のスタイルを確立するまでにはさまざまな経緯と歴史があるわけですが、どちらか一方の仕組みを1400人を超える規模の組織にそのまま反映するのは不可能です。今のポートフォリオにおいてどうあるべきかを今一度問い直す必要があるでしょう。

ただ、私たちにとって、人、組織、カルチャーが最大の資産であり、業界における競争優位性であるということはこれからも同じです。大切なのは、競争優位性になり得る「人」と「カルチャー」を、新しい体制の中できちんと構えなおしていくこと。一度、お互いが良い意味での自己否定をして、ゼロからCARTA HOLDINGSという新しい形を一緒に創っていく。すべてをリセットして、バージョンを上げて生まれ変わるという感覚ですね。新しい組織を細部までうまくデザインできれば、インターネット広告の分野で先頭に立って戦えるだけのポテンシャルを顕在化させることができると考えています。

ーー事業戦略という点で、今後具体的にどのような展開を考えていますか。

永岡:短期的な話でいうと、主たる事業が広告プラットフォーム事業になってきているので、これをもっと拡張して、大きな主戦場で戦っていけるようにすることですね。いま、国内の企業のマーケティングは、サイエンティフィックで合理的な在り方へとシフトしていて、常に仮説検証をおこなうためのデジタルな要素が不可欠になりつつあります。その変化に対して、きちんとしたソリューションを提供できるだけの知識と技術、人材、事業基盤を揃えた集団になっていかなくてはなりません。私たちだけでなく電通とも手を携えて協力しあって、ということですから決して簡単ではありません。ただ、これを実現できれば、日本の企業に対するマーケティングサポートのフロンティアになれる可能性が十分にあると考えています。

ーーCARTAとして2年目に入りますが、現在の株価についてお聞かせください。

永岡:今の株価は正直しょぼいですよね。上場以来ずっとしょぼい……。株価というのは、不特定多数の目が当社を評価した集大成として出来上がっているもので、いわば、通知表のようなものです。私たちの実績を見た人が客観的に点数をつけた結果が今の株価であるので、私たちの実力不足であると思っています。私たちは自分たちの実力をあげていかないといけないし、もっと成果をだしていかないといけない、その為の努力はめちゃくちゃしていかないといけないと思っています。多くの方々にしっかり期待を持ってもらえるように、やっていきたい。

CARTAという会社の表面的な価値だけでなく、潜在的な価値まで含めてすべてが評価された株価になっていく為にも、先ほどお話ししたような課題を一つ一つ解決し、今まさに練られている事業戦略や方針があるべき方向にしっかり動き出せば、成果として体現されると同時にマーケットの評価にも反映されていくと信じています。

ーー最後に、永岡さんが考える理想の組織像とはどういったものでしょうか。

永岡:世の中のあらゆるものがデジタルにシフトしていくなかで、デジタルトランスフォーメーションという言葉もよく使われるようになりました。しかし、日本には、まだその変化の狭間にいる企業が少なくありません。私たちが培ってきたノウハウは、マーケティングや広告といったジャンルに関わらず、変化していく社会全体に還元できるものです。「世界を変えるようなスゴイことをやる」という創業時の想いを忘れずに、世の中の成長に寄与できる集団になっていきたいと考えています。

その為にも、会社として一つの「こうあるべき」「こうあってほしい」という理想を押し付けるのではなく、一人ひとりが「自分らしさ」と「強み」に気付き、それを思い切り発揮したり、伸ばしたりできるような伸びやかな組織であることが求められます。いろいろな分野にいろいろな人が自主的に関与できる組織であるために、引き続き、「人を軸にした」会社経営を行っていきたいと思います。

※1:SSPとは、Supply Side Platform(サプライサイドプラットフォーム)の略で、媒体の広告枠販売や広告収益最大化を支援するツールです

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