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数々の新規事業を生み出してきたベストエンジニアが考える、仕事をする上での“心得”

違和感に慣れてはいけない。違和感がなくなる前に伝える

2019年4月の総会にてベストエンジニア賞を獲得した、株式会社fluct(VOYAGE GROUP100%子会社)の冨田さん。冨田さんはVOYAGE GROUPに2011年に中途で入社後、様々な部署を経験してきています。今回はそんな冨田さんに、あらゆる部署を経て今、仕事をする上で何を大事しているのか、そしてこれまでの経験を通しての学びについて聞いてみました。

冨田 尚樹

Naoki Tomita

株式会社fluct エンジニア

某通信会社コールセンターでのアルバイト時代、効率的に仕事をするために自分用に作ったWebアプリが全国のコールセンターでも使うことになり、専業エンジニアへ。いくつかのベンチャー企業を経て2011年VOYAGE GROUPに入社。「ルー語変換」という日本語変換サイトや、Googleで「はらへった」と検索すると自宅にピザが届く仕組みを開発したことでも知られている。最近は忍者好きができるだけバレないよう忍びつつ真面目にbid requestを捌く日々。

ーー2011年、VOYAGEに入社した決め手は何でしたか?

冨田:僕は中途入社なのですが、当時Perl(※1)が得意で、それ以外の言語にも挑戦したい思いが強く、自分が知らない会社を受けようと思って出会ったのがVOYAGE(当時株式会社ECナビ)でした。

ーーどのような業務に携わっていたのでしょうか?

冨田:最初はVOYAGEの子会社で、スマホゲームのプラットフォームに対してゲームを提供する事業をやっていました。スマホゲーム業界が初めてだったので、数字を見ながらリテンション率をチェックし、毎週細かいスプレッドシートを作成してどのタイミングで数字が落ちているかを追っているのが興味深かったです。

あとは、代表の宇佐美がやりたいプロジェクトを数名で作るという企画があって、「Ubico」というチャットアプリを作った覚えがあります(笑)。今で言うReact Nativeみたいな、iOSでもAndroidでも同じソースコードでブラウザの技術を使って動かすということを先取りしすぎたり、無謀な挑戦ができたのは良い思い出ですね。急に出てきた企画ではあったものの、プロモーションせずにアプリランキング1位になったりもして楽しかったです。

その後ゲーム事業から撤退することが決定し、僕はゲーム以外のスマホアプリ開発をする子会社に異動して、大量にアプリを作りましたね。中でもテレビを見ながらSNSで呟くソーシャルビューイングアプリは調子がよくて、グリーさんと一緒に協業して再リリースもしました。スマホアプリ開発をする中で特に面白かったのはデザイナーが主体というところで、システムのことを把握しながらデザイナーとしての意見をしたり、視点もプロダクトやデザインのことを考えて「こうしたら速くできるのでは?」とか、お互いが検証を進めやすい形を提案できる関係ですごく良かったです。

冨田:数々の作ったアプリをZucksに引き継いだ後、コンテンツメディア事業本部に異動していくつかのキュレーションメディアをやっていました。基本はプロダクトオーナーが方向性を組みながら進めるのですが、中でも思い出深いのは、アイランドさんとの共同事業である「朝時間.jp 」のシステムフルリニューアルです。システムを一旦全て引き取ってAWSに移転して、その後複数のシステムを1つにまとめて運用しました。データセンター移管もあってかなり大変だったのですが(笑)、スマートにランディングすることができました。

そして、コンテンツメディア事業本部がVOYAGE MARKETING所属に移ることになって、またまた異動(笑)。この頃はキュレーションメディアだけでなく、PeX(※2)のメール関連調整や、管理画面、PeX機能開発などもやっていました。1つの大きなRailsプロダクトや、金銭価値のあるポイントを扱うということで開発者も多く、みんなで慎重に運用していくのは今までと違う働き方で面白かったです。

新規サービスリリース後、初のアドテク業界へ足を踏み入れる

冨田:その後またいくつかサービスに携わった後、株式会社VOYAGE NEXUSに異動しました。これも思い出深いですね。というのも、様々な要因から本来予定していた工数に加えて3ヶ月かかるという事態が訪れました。結果、みんなでリリースまで持っていくぞと一丸になれたので無事リリースはできたのですが。やはり色々な事業をやらせてもらうと、なんやかんや毎回壮絶なドラマに携わるので、とくに立ち上げ事業に関してはドラマはつきものなのかなと思いました(笑)。

そして現在の部署はfluctで、初めて自分から選んだ場所です。理由は2つあって、1つは、長くVOYAGEにいる中でアドテク業界に関わってこなかったので飛び込んでみたいというところ。fluctはfluctでチャレンジングな現場なので、激動のアドテクの中で7年間積み重ねられたプロダクトの状況を変えたり整理するのは実際やってみると面白いです。もう1つは、一緒に働いてみたい人がいて、大山さんという人なんですけど。彼って、ネガティブなことを辛そうな素振りをみせずにポジティブに言えるんですよ。何を言ってるんだという感じかもしれませんが(笑)、僕は大事だなと思っていて。本当に辛いことを本当に辛い感じで言うのは誰でもできますが、そうではなくて、「これってどうしたら良いんでしょうかね〜?」と、あたかも楽しんでるかのような雰囲気を出す人で、この人なら何かあった時でも本気で対応してくれるなと感じさせられました。

今はExchange BiddingというGoogleと接続するサービスをやっています。スタートした時は将来性を検討しながらの事業だったので、ほとんど1人でやっていました。共通部分は複数メンバーでやっていますが、サーバーは1人で書いたのでかなり愛情が込もっています。それから徐々にExchange Biddingの規模が大きくなり、既存の先行していた海外Exchange事業者と同じくらいの業績をあげた時にはすごく達成感がありましたね。

ーー開発環境や使う言語が変わって、大変ではないですか?

冨田:環境の変化は、海外に住み始めて現地で言葉を覚える楽しさと捉えて、切り替えるようにしました。すると仕事も言語と一緒で、ある日から急に話してる内容が分かって色々繋がってきて、話ができるようになったりします。プログラミング言語はこれまでいくつかやってきたのでコツが掴めている部分もありますし安心感がありますが、ビジネスモデルやビジネスそのものは毎日手探りな部分もあり油断ならないので、日々勉強です。

ーー普段仕事のインプットはどのようにしていますか?

冨田:たまにやるのは、読みたい本を貯めて箱に詰めて、旅館やホテルに送って缶詰になって読むこと。短期間でガーッとやってガーッっと忘れてちょっとだけ覚えます(笑)。新しい技術とか分野はしっかり理解していくと時間がかかりすぎるので、大量に検索でもなんでも良いから流し読みして、なんとなく掴んで一旦落ち着いて、その後分からなかったことは仕事しながらちょっとずつ理解していくみたいな、そういうスタイルでやっています。順番に分からないところを埋めていって完璧に理解していこうとすると、理解し終えた頃にはそのビジネスで戦うという時間が終わっていたりするので……。インプットの時間を作るよりも短い時間でやることを意識していますね。

“違和感”に慣れてはいけない。違和感がなくなる前に伝える

ーー様々な仕事をしてきた中で、共通して大事にしていることや気をつけていることを教えてください。

冨田:そうですね、まず気をつけているのは「違和感がなくなる前に違和感を伝える」ことです。あらゆる部署に異動する中で、最初は借りてきた猫のように一旦現場に合わせようとする姿勢を示しながら、自分らしさを出すことでプラスに繋がることも多いので、徐々に「ここは変えた方がいいんじゃないか」と違和感を伝えるようにしています。現場に慣れてしまうと誰かに伝える前に違和感ってなくなってしまうので気をつけていますね。あとは「1人で見ない」こと。特に直近のfluctでは自分が書いたコードを何人もの人が見るので、誰が見ても意図が伝わるような分かりやすい形にするのを心がけています。

ーー新規事業に取り組む上で意識していることはありますか?

冨田:「常にB案を用意しておく」ことです。というのも、新規事業をリリースまで持っていくには、一筋縄ではいかない障害が必ずあります。例えばですが、早くリリースしたいと言う気持ちの人がいたり、利益優先の考え方の人がいたり、メンバーの体調不良だったり。そうした何かの時のために、常に僕の中ではB案を用意しているなというのは最近改めて思いますね。実際、めちゃくちゃすごいサービスが一瞬で生まれることってないじゃないですか。なので常に「こういうことが起きるかもしれないけど最悪これができなくてもあとでこうしよう」といった案を持つようにしています。

あとは、新規事業はその時ある材料で事を成す必要がある時も多かったこともあり、最近は現状の材料の使い方を考えることを意識できるようになりました。チームメンバーが得意としていることとか、調整した方が良いものに関してうまく促したりと、今いる人が一番良い状態で動いてくれることが全体の成功に繋がるので。元々僕が自己流で行く部分が強かったからこそ、意識しているのかもしれません。

ーーなるほど。となると、若手も仕事がしやすそうですね。

冨田:どうなのでしょう。実際、今の仕事でお互い大変なので、若手を成長させてきましたとか、フォローしてきた気があまりしないのですが、振り返ると成長している若手エンジニアがたくさんいます。僕は全然すごくないですし必死にやっているだけなので、育成はよく分からないところがありながらも、そんな僕から少しでも感じ取ってもらえる部分があれば嬉しいです(笑)。

ーーVOYAGEにはどんなタイプの人が多いと感じますか?

冨田:役員陣は良い人が多いです、圧倒的に。腹黒い人とか全くいなくて、本当に良い人なんですよね。エンジニアは色々な人がいますが、長くいるベテランの人たちは良い意味で曲者が多いかな。新卒エンジニアはなぜか知らないですが本当に成長するのでよく分からないです(笑)。ビジネス側も色々な人がいますね、fluctの望月さんとかはやっぱり刺激的かつダイナミックで元気で、すごいなと思います。

ーー今後のイメージしているキャリアを教えてください。

冨田:明確にこれといったものがあるわけではないです。おそらくエンジニア業界も手探り状態だと思っていて、今のところ僕はまだガンガンコードを書いていけるなという感じがあるので直近はそれをやります。今後また新規事業の話が出てやって欲しいと言われたら……やっちゃうんでしょうね。もちろん、今の業務を手放して新規事業をやりたいわけではなく、今やっているものをしっかり育てていきたい気持ちはありながらも、やらなければいけない時ってあるので。あとは自分自身成長している感覚もまだあるので、頑張っていきたいなと思います。

※1:テキストファイルを処理するためのスクリプト言語。UNIXに含まれているAWKやsedといったコマンドの機能を拡張したものであり、C言語のような汎用プログラミング言語として利用されている
※2:ポイント交換サイト

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