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きっかけは新領域への挑戦。fluctが音声広告の開発を通して見えたものとは

未来の可能性だけでなく今取り組んでいる領域に対しての広がりもあった

株式会社fluctは、運営するSSP「fluct」において、インターネットでラジオを聴くことができる国内最大級のラジオ配信サービス「radiko(ラジコ)」に音声広告の配信を開始しました。音声によるプログラマティック広告での収益化が可能になった今、fluctとしてどのような可能性が広がり、今後どのような未来を描いているのか、今回の開発に携わった望月さんと大山さんにインタビューをしました。

望月 貴晃

Takamitsu Mochizuki

株式会社fluct 取締役

モバイル向けITソリューションベンチャーを経て、2009年より米アドテク企業ゴールドスポットメディアに参画。2015年にMBOにより米国本社から独立し、2016年にVOYAGE GROUPにM&Aによりジョイン。2018年より株式会社fluctの経営に参画し、商品企画・開発とプロダクト開発を担当。

大山 陽耕

Yoko Oyama

株式会社fluct エンジニア

テキサス大学アーリントン校卒業後、Webアプリケーションエンジニアとして株式会社ライブドアにジョイン。その後、当時VOYAGE GROUPの100%子会社であった株式会社Research Panel Asiaにジョインし、海外開発拠点の立ち上げ、グローバルマーケティングリサーチプラットフォームの構築等を経験する。2017年より株式会社fluct(VOYAGE GROUPの100%子会社)に入社し、広告配信プラットフォームの開発をしながら、継続的なサービス改善を行う。

ーー音声広告の配信をやるとなったきっかけは何でしたか?

望月:一番の大きなきっかけは、VOYAGE GROUPがCCIとの経営統合でCARTA HOLDINGSになったことで、CCIさんと話す機会が入ってきたことです。fluctの事業は、メディアを運営している会社やアプリのデベロッパーに対して広告を配信する仕組みを提供するものなのですが、元々ブログやニュースメディアなどWebのお客様とのお付き合いが多かったので、出版社や通信社、放送局の方と話す機会ができたのは大きかったですね。あとは、元々持っているプログラマティックの機能を活用すればWebだけでなく野外広告と言われるOOH・テレビ・ラジオといったところにも「fluct」を提供できる、という話があって、タイミングがうまく重なりました。

ーー開発はどのように進めていったのでしょうか?

大山:fluctは1年ほど前にプログラマティックな動画広告の配信に対応したのですが、その頃から音声広告の配信に必要な機能は動画広告と重なる部分が多いことは分かっていました。そして去年末に望月さんから「音声広告の案件取ってきたらできます?」という話があって、できますと返答しつつも大きな媒体なので一気にやる流れにはならないだろうと思っていたんですよね。そしたら翌日「取ってきたのでお願いします!」と(笑)。それからは、まずどうやるかを周りの優秀な人たちと話し合いながら、最短で開発を進める方法を考えて進めていきました。仕組みは動画広告と共通しつつ、今回の音声広告での接続に欠けているピースは別で作っていきました。

ーー開発をする中でやりがいのあった部分は何でしたか?

大山:音声に直接は関係しないのですが、PMP(※2)というプログラマティック取引のやり方があって、その仕組み自体を刷新したところですかね。fluctは以前からPMPを扱う機能を持ってはいたのですがかなり前に作られたままでアップデートされていなかったんです。これまでのバナーやネイティブ広告とは違い、動画・音声広告ではPMPがより重要になると考えられたので、ちゃんと作らなければいけなかったというのはありました。

未来の可能性だけでなく今取り組んでいる領域に対しての広がりも

ーープロダクトを通してどのような可能性が広がったと思いますか?

望月:今回はインターネットラジオへの広告配信に対応していますが、近い将来にはテレビも通信放送の同時配信が始まるのでラジオ以外にも応用できるかもしれませんし、デジタルOOHのような別の世界観にも発展的に応用が効くようなプロダクトになっていくと思うので、すごく可能性が広がるなと思っています。一方で、PMPは今後プレミアムな広告主やハイエンドのお客様に提供する時には必須機能なので、逆にバナーで今までそれができなかったお客様にもできるようになったりもします。なので、未来に対しての可能性だけでなく、今やっている領域に対しても広がりがある、すごく大きな機会だったと思います。

大山:今までfluctは大きな媒体と接続するみたいなのはやれたらいいよねとは言いつつなかなか踏み出させていなかったところでした。なので、「仕組みはどうなっていなきゃいけないか?」とか、「どこの仕組みが重要になって、何を捨てていくか?」みたいなものが分かりにくい状態にあって。それが今回具体的になったので、今後サービス自体新しくしていく時に何をしていくべきなのかが明確になったかなと思いますね。

望月:本当今回は大きな転機がすごくありましたね。1つ直したいところに対応すると、それにつられてずっと引きずっていたあの問題もこの仕組みで解決できない?みたいなものが色々出てきて、このまま進めばfluctモダンになるんじゃないのかなと。昔から抱えていた問題が解決していくという流れがここ半年ほど多かったのですが、今回を機にまたギアが一段二段引き上がった感じはあります。

大山:たしかに、抽象度高く問題解決できるようになったのはありますよね。様々な業務がある中で「これ専用の仕組みを作らなければいけないのではないか?」というところから、単純な仕組みの組み合わせであの業務も楽になるとか、全体的にシステムを単純化できるよねといった話もよく出るようになりましたね。

ーー実際にradikoの配信がスタートしてみてどうですか?

望月:トラフィックを捌くパターンは、今までのインターネット広告とは全く違うパターンなんですよ。Webサイトに広告配信してる時って、だいたい通勤時間の朝にPVが盛り上がって、通勤時間が終わると下がって。お昼あたりにまたトラフィックが増えて落ち着いて、また良くなって伸びていく。これが今回でいくと、ラジオや放送局って基本的に同時視聴のライブ配信になるので、CMが流れる瞬間だけスパーンって跳ねるんです。よくテレビCMをやった後にWebサイトにトラフィックが集中してサーバーが落ちた、みたいな話あるじゃないですか。それが常にデフォルトというか、今までと違ったトラフィックの捌き方が必要になります。これはインフラチームがトラフィックの需要に合わせてうまくサーバーの台数やキャパシティみたいなものを決めるのですが、バッファーを持たせて潤沢に用意するとコストがかかるし、この日・この時・この瞬間にどれくらいトラフィックがくるのかといったコントロールなどは今後すごく難しいチャレンジになってくると思いますね。

ビジネス側と開発側がフラットに近づくことでより良いスパイラルが生まれる

ーーお2人が考えるfluctの強みを教えてください。

大山:ビジネス側から「こういうの作ってください」と言われても、背景や理由なく作ることはしない人達が多いのは強みなんじゃないですかね。作ってくださいと頼まれたものを根拠なく作ったら失敗するかもしれない。なので、なぜこれが必要なのかとか、それをやりたいならこうした方が良いんじゃないかというのをビジネス側と開発側がお互いに話して進めているのは良いところだと思っています。

こういう思考の仕方は、技術力評価会(※3)とかで染み付いていってるのかな。評価会で「頼まれたから作りました」では通用しないので(笑)。まあでも作ったものが意味なくて似たような別のものを作るとかって嫌なので、1回しか作りたくないみたいなのはあると思います(笑)。

望月:今本当にどんどん良くなっていってるのは、ビジネス側と開発側が結構フラットに近づいてきてるなというところです。エンジニアのみんなが言っているように、作りたいものがあった時、ビジネス側からこういうものがないと売れないっていうのが結構ドラスティックに出てくるので、それをエンジニアに伝えた時に「それを解決したいってことはきっとこういうことがやりたいんだろう」という汲み取り力と、なんとなく噛み砕いてそれを形にしてくれるチームも増えています。また、それに対してコミュニケーションしやすい空気ができていますね。

あとは、去年くらいまではfluctは1つの組織で1つのチームにいることが多かったのですが、最近ビジネスサイドがシャッフルすることが多くて。元々メディアに向き合っていたチームがDSPとかアドネットワークのデマンド側に向き合うチームに異動したり、そういう動きが出てくると、自然と違う部署とのリレーションシップが生まれますよね。物理的に今まで一緒にやっていたチームの子たちが別のチームにいたりとか、それはfluctに限らずVOYAGE GROUPの中でも他の子会社間の異動によって流動性が出てきたおかげで、動きやすくなっているなと思います。情報の流通がすごく滑らかになってきているので、それが速度に繋がり、意思決定の速さに繋がり、作るものの精度の高さに繋がる、そんな良いスパイラルを感じます。

ーー逆にfluctとしてもっと強化していきたいところはありますか?

大山:やっていきたいことになりますが、古くなった仕組みを置き換えるなり良くするなりして早く変化していけるシステムにしていきたいですね。例えば障害や不具合をより早く検知できるようにしたり、Perlで書かれたコアな機能を分解して置き換えていったり。手をつけていかなければいけないことに対して動いていかなければというのは感じています。

望月:どこまでいってもBtoBのプロダクトを提供するサービスプロバイダーなので、ものは良くしていかなければいけないのはあります。内部的なものを良くするのも、新しいビジネスチャンスとかの機会があると半ば強制的に変えざるを得ない状況になったりはするので、無理矢理という話ではないですが新しいビジネスチャンスは拾っていけるようにしたいし、拾える人もビジネスサイドは増やしていかなきゃいけないなと考えています。あるものを売ってくるだけじゃなくて組み合わせることで新しいビジネスが生まれるので、そういうのをどんどん広げていきたいですね。

ーーfluctとしてどういう未来を描いていきたいと考えていますか?

望月:さっきのビジネスの可能性の広がりに近いのですが、どうしても今まではWebに特化した仕組みでそこだけで商売をしていたけれど、音声機能の開発を機にすごく汎用的かつ抽象度の高い問題を解決できるようになってきました。そうなってくると、アイディア次第ではビジネスの幅が結構広がってきて、Webでやっていた仕組みをオフラインの世界に持って行こうとか、今まで画像しか流せなかったところにビデオやオーディオが流せるなど、そうしたところにもビジネスの機会ができたり。逆に言うとビジネス側もできることがパーツパーツでたくさん増えてきているので、これらをうまく組み上げてお客さんの前で欲しい形にするみたいな、結構アイディアがものをいう世界のビジネスに広がっていくなというのはイメージができます。

あとは元々プログラマティックの世界がグローバルスタンダードな標準仕様でみんな動いているので、世界のグローバルプレーヤーとより連携して日本にこだわらずに商売をやっていこうというのを今はすごく思っていますね。

大山:fluctのシステムは動き始めて10年になり、今や古く大きく成長しています。そういったシステムは一般的には課題も多く、放って置くと徐々に競争力を失うことも多いですが、そんな大きなシステムを、より早く変化に対応でき、より競争力を伸ばせるものにしていきたいですね。fluctはエンジニアが互いに協力して大きな裁量を持って様々な技術的課題に取り組むことができるので、とてもやりがいを感じますし、これからより大きな変化を起こしていけるように感じています。

※1:複雑になりがちな広告取引を自動化する方法
※2:Private Market Placeの略。参加できる広告主とメディアが限定されたプログラマティックな広告取引市場のこと
※3:VOYAGE GROUPのエンジニア評価制度

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