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事業の進化

セレンディピティと“発見”をもたらす。Pinterest×CARTAが描く新時代の顧客接点

SNSの世界は「今この瞬間」の発信が主流です。そんな中でPinterest(ピンタレスト)は「未来のための検索と保存」に焦点を当てたプラットフォームとして独自の地位を確立。日本国内では月間1,280万人以上が利用(2025年3月時点)し、若年層を中心に利用者が増加を続けています。「非指名検索」が96%を占め、企業にとっては新規購買のきっかけとなる貴重な接点となっているPinterest。今回は、Pinterest Japanの日本代表である成田敬氏と、Pinterest Japanの広告事業立ち上げからパートナーシップを担当している株式会社CARTA COMMUNICATIONS(略称CCI ※1)メディア戦略部の岸岡勝正に、Pinterestの魅力と効果的な活用法を聞きました。

※1 CCIは、2025年7月1日付にて、株式会社CARTA MARKETING FIRMおよび株式会社Barrizと統合し、株式会社CARTA ZEROとして始動します。

成田 敬 氏

kei Narita

ピンタレスト・ジャパン合同会社
マネージングディレクター 日本代表

三井物産、AOLアドバタイジングジャパン、アマゾンジャパンを経て、2021年にピンタレスト・ジャパンに入社。アマゾンでは、広告事業の営業本部長として、広告主営業、代理店パートナーシップ、アドテクノロジーの各事業を主導。
ピンタレストではマネージングディレクター(日本代表)として、日本市場における同社広告ビジネスの立ち上げ、事業拡大を牽引。

岸岡 勝正

Katsumasa Kishioka

株式会社CARTA COMMUNICATIONS
取締役

メディアコンサルティング、新事業担当を経て2019年5月よりメディア担当領域のディビジョン・マネージャーに就任。2021年7月(株)CARTA COMMUNICATIONS取締役に就任。
数多くのパートナーシップ戦略の実行、ソリューション開発のリーダーシップを担っている。

Pinterestとは何か?利用者の特徴と行動パターン

ーまずPinterest(ピンタレスト)とはどのようなプラットフォームでしょうか?

成田敬氏(以下、成田):Pinterestは、インスピレーションや得たり、アイデアをまとめたり、商品を探して購入したりするためのビジュアル検索・発見プラットフォームです。ユーザーは自分の“なりたい姿”や“やりたいこと”のインスピレーションを得るためにPinterestを訪れ、画像や動画で視覚的に探し、保存し、最終的に購入やアクションに移していきます。特に近年はショッピング機能を強化し、探す、比較検討する、行動に移すという一連の流れをシームレスにサポートする環境づくりに注力しています。

ー具体的にはどのようなシーンで利用されているのでしょうか?

成田:大きく3つのカテゴリがあります。まず「日常生活のアイデア」としてファッション、インテリア、メイクアップ、レシピなどがあります。次に「季節性のアイデア」で、クリスマスのデコレーションや新生活の部屋の模様替え、季節の変わり目の対策など。そして「ライフモーメントのアイデア」として、結婚式や家の建て替え、リノベーションなど、人生の大きなイベントに関する情報収集にも使われています。日々の小さなアイデアから一生に一度の大きなイベントまで、幅広い目的で活用されているのが特徴です。

ー最近のユーザー層やトレンドに変化はありますか?

成田:日本国内では*2025年3月時点で月間約1,280万人の方に利用いただいています。子育て層やミレニアル世代も依然として大きな存在ですが、今はZ世代の間で急速に利用が広がっており、プラットフォームの未来を形作りつつあります。使い方としては、アイドルやアニメキャラクターの画像を保存して楽しむ「推し活」的な使い方も増えています。例えば、好きなアイドルの写真を様々な角度から集めてボードに保存し、それを見て癒されたり、他のファンとシェアしたりする使い方ですね。

*出展: Source: Nielsen Mobile Netview, Japan, March 2025.

ーPinterestは「SNS」と分類されることが多いですが、他のプラットフォームとの違いは何でしょうか?

成田:一番の違いは「時間軸」と「利用目的」です。他のSNSが”今この瞬間”のシェアやリアクションを中心にしているのに対し、Pinterestは”未来のための検索と保存”が基本行動です。他のSNSでは、過去の記録や今起きていることを発信したり、インフルエンサーの投稿をフォローして見たりする使い方が多いのに対し、Pinterestではユーザー自身が次にやりたいこと、買いたいもの、なりたい姿を能動的に探すというのが大きな違いです。
また、言葉にしづらいイメージを画像で探せるのがPinterestの強みです。「こういうテイストの服が欲しい」「こういう雰囲気のインテリアにしたい」といった言語化しにくい希望を、画像で見つけられます。気に入った画像を保存していくと、AIを含むPinterest独自のアルゴリズムによってそのイメージに近い画像をどんどん表示してくれるので、自分の求めているものが明確になっていくのです。

岸岡勝正(以下、岸岡):私自身も仕事でよく使ってきましたが、Pinterestの魅力は良い意味での「揺れ」があることだと思います。他のSNSや検索エンジンを使うと、ピンポイントで欲しい情報が出てきます。それは合理的で効率的である一方、自分の発想以上のものは出てこないともいえます。
Pinterestでは、例えば「ロンドン レザー」と検索すると、様々な着こなしのバリエーションが出てきて、自分の知らない情報や常識外のアイデアに出会えるのです。この「セレンディピティ(偶然の幸運な発見)」がPinterestの大きな魅力だと考えています。

企業が注目すべきPinterestのビジネスインパクト

ー企業が今、Pinterestを活用するメリットとは何でしょうか?

成田:Pinterestの検索の96%が「非指名検索」です。ブランド名や商品名ではなく、「黒いジャケット」のような「カテゴリ」や「特徴」で検索しています。例えば「黒いジャケット」を検索し、気に入ったものがたまたまA社のブランドだった、といった形で商品にたどり着きます。企業にとっては、「アイテムは欲しいけれど、まだブランドや商品は決めていない」という、購買の前段階にいるユーザーにリーチできる貴重な場となります。

Pinterestでは毎年「Pinterest Predicts」というトレンド予測レポートを発表しています。このレポートは単なる現状分析ではなく、ユーザーの検索行動から「次に来るトレンド」を予測するものです。実際に、過去5年間でPinterestが予測したトレンドのうち80%が現実となっています。この“未来のトレンド”レポートが、毎年新たなアイデアをいち早く見つけ出し、翌年以降も流行が続くことを示すものとなっているのです。

こうしたトレンド予測は広告主の皆様にとって、次のマーケティング戦略を考える上で貴重な情報源となります。実際に私たちのトレンドキーワードをスポンサードする形で、「Pinterestトレンド」として広告クリエイティブに組み込むこともできるため、時流に乗ったマーケティング展開が可能になります。

ーPinterestではユーザーの広告に対する受容度も高いと聞きました。

成田:はい。Pinterestはユーザーが能動的に情報を集めている状態なので、関連性の高い広告はむしろ有益なコンテンツとして受け入れられます。実際、広告のビューアビリティ(広告が実際に見られる割合)は他プラットフォームと比較して約3倍高く、広告への注目度を示すアテンション指標も非常に良好です。

効果的なPinterestマーケティング戦略

ー企業がビジネスアカウントでオーガニック投稿を行う際のポイントを教えてください。

成田:ユーザーが“保存したくなる”コンテンツが鍵になります。特に大事なのが、商品訴求ではなくユースケース、How toなど、ユーザーのライフスタイルにおける「アイデアとして役立つか」という観点です。

またPinterestの大きな特徴として、オーガニック投稿の寿命が長いことが挙げられます。他のSNSでは投稿はタイムラインですぐ流れていってしまいますが、Pinterestでは一度投稿したコンテンツが半年後、1年後にも検索され続け、新たなユーザーにリーチし続けます。このため企業は、少ない労力で長期的な効果を得られるのです。

Pinterestでは、カタログ連携やRSS連携はもちろん、直近ではInstagram連携の機能も強化しており、企業の皆様がより自社コンテンツのシェア等に活用いただきやすいアップデートも進めています。既にお持ちの自社コンテンツを複数のプラットフォームで同時に発信することで、さまざまなオーディエンスにリーチすることができるでしょう。

岸岡:ユーザーは、様々なソーシャルプラットフォームを当たり前のように使い分けています。例えば私自身、YouTubeを見るときとインスタグラムを見るとき、TikTokを見るとき、Pinterestを見るときなど、それぞれのプラットフォームで求めているものが全く異なります。いわば、メディアごとに異なる人格をもって行動しているのです。この特性をしっかり理解した上で、可能であれば各プラットフォームに最適化したクリエイティブやコミュニケーション設計をしていくことが望ましいでしょう。

Pinterestユーザーは単なる暇つぶしではなく目的を持ってアクセスしています。そのため、例えばセール告知をするにしても、コーディネート画像など実際にユーザーが探しているアイデアの文脈に合わせたクリエイティブにして、結果的にセールであることが伝わる形にするほうが効果的です。

また、Pinterestは「未来」に向けた準備のために使われるという特性から、実際の購買タイミングよりも前から情報発信するのが効果的です。例えば秋冬のファッションなら夏の終わり頃から、クリスマス商戦なら秋口から準備する。といったように、前段階で良い意味での「刷り込み」を行うのにPinterestは非常に優れています。

企業はまずオーガニック投稿を行ってブランド認知度を高めつつ、価値のあるコンテンツを継続的に提供することが重要です。その後、広告配信を行うことでさらにリーチを広げ、効果の最大化を目指すのが良いと考えています。

CCIの広告ソリューション「Social AdTrim for Pinterest」

ーCCIではPinterestの広告事業開始と同時に取り扱いを始めたそうですね。当初どのような可能性を感じていましたか?

岸岡:Pinterestの取り扱いを開始した当初から、その可能性を強く感じていました。他のSNSでは、主にコミュニケーションを楽しんだり、友人とのつながりを深めたりすることを目的としています。そのため、そこに広告が差しこまれると、広告色が強く感じられることもあります。しかし、Pinterestには目的意識を持ったユーザーが訪れるため、広告がそのアイデアの一部として受け入れられやすく、ポジティブな環境で広告を届けることができるのはPinterestの大きな魅力です。

成田さんをはじめとしたPinterestの皆様とは長いお付き合いがあり、信頼関係を築いてきました。だからこそ、一丸となってメディアグロースを体現できると確信しており、Pinterestは単なる広告メディアとしてだけでなく、ともに成長していけるパートナーであると考えております。

ーCCI独自の新ソリューション「Social AdTrim for Pinterest」について教えてください。

岸岡:Social AdTrim for Pinterest」は、Pinterestをビジネス活用するためのトータルサポートパッケージです。企業アカウントの開設から、オーガニック面での投稿サポート、Pinterestのベストプラクティスに基づいたクリエイティブの提案、広告効果を最大化するためのConversion APIの導入サポートなど、広告配信だけでなく幅広いサービスを提供します。
日本では、企業のPinterest活用がまだ発展途上であり、広告投稿に限らず多くの企業がビジネスとして活用できていないという背景があります。しかし、先ほどからお伝えしているように、Pinterestのプラットフォームとしてのポテンシャルや魅力は大いにありますから、それを最大限に引き出せるよう、CCIが持つ専門的なスキルをクライアントに提供していきたいと考えています。

ーPinterestと特に相性の良い業種はありますか?

成田:ビジュアルコンテンツを中心に展開するため、視覚的に訴求できるものが有利です。ファッション、インテリア、美容、旅行、レシピなどの業種は効果が高い傾向にあります。意外なところでは、家電や自動車も相性が良いですね。例えばインテリアを検索して部屋のリノベーションした文脈で家電を提案したり、アウトドアのアイデアを探しているユーザーに アウトドアに向いた自動車を訴求したりといった形です。結婚や新生活といったライフイベントのタイミングで、クレジットカードなどを提案する広告も効果的です。

重要なのは業種というよりも「ライフスタイルやライフモーメントの文脈」に合わせた広告を出すことです。ユーザーの関心に寄り添ったクリエイティブを用意すれば、様々な業種で成果が見込めます。

ークリエイティブを作成する際に押さえるべきポイントを教えてください。

岸岡:Pinterestでは特に、ビジュアル面での工夫が重要になります。フィード内では画面占有率の高いフォーマットを活用することでフィード内での視認性を高めていきます。また、メッセージは一目で分かる位置に配置することでより高い広告効果が望めます。「アイデアを探している」というユーザーの目的に沿ったクリエイティブにする必要があるでしょう。

より良い顧客接点を磨き続ける、これからのPinterest

ー今後の日本市場での展望を教えてください。

成田:Pinterestは日本においては2022年6月に広告事業を開始し、ようやく3年目を終えるところで、まだまだポテンシャルが大きい市場だと考えています。3年の間に、テイクオーバー型広告「Premier Spotlight」や、AIを活用したソリューション「Performance+」など、様々な広告商品をローンチしてきました。今後もCCI様をはじめとする代理店とのパートナーシップを強化しながら、多くの広告主に活用いただけるようなアップデートをしていきたいと考えています。
またCCIさんは、私たちが広告事業を立ち上げる前のベータ段階から一緒に取り組んできた最大のビジネスパートナーです。今後も、新しい成功事例を一緒に作っていきたいと思います。

岸岡:CCIとしては、Pinterest広告の取扱高を年々大きく伸ばしており、今後もその成長率を維持していきたいと考えています。日本のデジタル広告市場はどうしても寡占的になりがちですが、多様なマーケティング手法があった方がクライアントにとっても機会が増えます。まずは特定の領域でPinterestの世界観を確立し、その結果として事業の成長を実現していきます。

ー最後に、これからPinterestを活用しようと考えている企業へメッセージをお願いします。

岸岡:新しいコミュニケーション手法にチャレンジする際は、まず第一歩を踏み出すことが重要です。CCIはその初期段階のサポートを得意としていますので、ぜひご一緒にビジネスを発展させていきましょう。

成田:Pinterestは能動的にアイデアを探すユーザーに、新しいブランドや商品の発見やエンゲージメントを促すことができる場所です。ブランドにとって短期的な成果だけでなく、中長期的なビジネスの成長も支えることで持続的な価値をもたらすと考えています。そのブランドが持つイメージや世界観を守りつつ、より高めていけるポジティブな環境で情報を発信できるのがPinterestならではの強みです。ビジネス成長や事業拡大を目指すにあたって、非常に価値のあるプラットフォームだと自負しておりますので、是非活用いただきたいと思っています。